▽コロナ禍中の東京五輪開催。恙 (つつが) なく成功裏に終わることを祈っていた。蘇るオリンピックの記憶。▽2000年シドニー大会。女子マラソンで日本人初の金メダルに輝いた高橋尚子選手こそ最大のハイライトだが、彼女の大ピンチを救った「奇跡のボトルリレー」を覚えている? TVカメラが一部始終を捉えていた。先頭集団を走る日本勢3人が給水ポイントに近づいた時、水を取り損ねた高橋選手。それを見た山口衛里選手が機転を利かせて彼女にボトルをパス (!)。水分補給できた高橋選手が次に市橋有里選手に手渡した (!)。その直後、高橋選手が猛スパートをかけ、一気にトップへ躍り出て栄冠を勝ち取る。スポーツマンシップと勝負師魂が瞬時に現れた、絵になるシーンだった。▽これもシドニー五輪。アフリカの (国名は覚えていない) 男子競泳選手が出場した予選組は3選手だけのレース。しかも、他の2人がフライングで失格し、あろうことか、1人だけでタイムを競う異常事態に。この選手は水泳歴が浅く、スタミナが切れてどんどんスピードが落ちていく。それでも会場は大歓声と嵐のような拍手に包まれ、アナウンサーも最後まで彼の泳ぎを情熱的に実況していた。五輪大会で必ず起こる感動的な珍事。それを期待して、今年もTVに釘付けになった。 (SS)