Friday, 19 April 2024

遭遇

夏に『遭遇』のテーマと来れば  “納涼怪談” と相場が決まっている。高校時代に旅した青森・下北半島。20分で「本州最北端の碑」に行けると聞き、夕暮れに友人と大間崎 (おおまざき=碑のある岬) を目がけて一本道を歩き出した。到着して碑の脇から眺めるサンセットの見事さを心に刻み、帰路につく。やがて異変が … 。途中の集落を過ぎ、歩き続けていたら、再び同じ集落が出てきたのだ。一本道なのにおかしい … 。すると、私たちの背後から、タバコを燻 (くゆ) らし、笑いながら独り言を呟 (つぶや) いて近づいてくるオジさんがいた。手ぬぐいのハチマキ、半天、雪駄という姿。道を尋ねたら「オレについてきな」と言う。夜の帳 (とばり) が下りて静寂が広がる中、オジさんの姿が忽然と消える。戻れたのは深夜。心配した旅館の人達が総出で待っていた。・・下北半島の霊場「恐山」。 宿坊を出ると、友人の1人が意味不明な言葉を発して前後不覚の状態に陥った。「水が欲しい」と必死に訴える。慌てた私たちは前方の小さな店に飛び込んだが、7〜8人の女店員さんがケラケラと笑っているだけで (またも不可解な笑い)、私達には目もくれない。正気に戻った彼を連れて宿坊に戻り、翌日に再び行ってみると、そこはクモの巣に覆われた廃家だった。・・“遭遇” してしまったのかな? もう下北半島へは行かない。 (SS)
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▽インターネットに初めて遭遇したのは、1990年代の初めの頃だった。共同通信社LA支店の方が日系のIT企業に連れていってくれて、いろいろ見せてくれた。「スゴいでしょう! 世の中、激変しますよ」の言葉どおり、インターネットはありとあらゆる面で私たちの生活を大きく変えた。▽そのインターネットを駆使して、15歳の少年がすい臓がんの早期発見を発明したそうだ。ジャック・アンドレイカ。慕っていた親戚のおじさんがすい臓がんで亡くなり、ネットを使って調べ続けたとのこと。ジャック曰く 「インターネットを使えば、何でもできます。自分の変顔写真をアップする以外にも、もっと良い使い方があることに僕は気づきました。皆さんも世界を変えられるかもしれませんよ」。▽還暦を過ぎた頃から、全ての遭遇は特別で素晴らしいものだと思えるようになった。祖父母、両親、義理の姉、親戚、恩師、友人、知人が亡くなり「人は老い、やがて死に行く」という現実を目の当たりにして、逆に、ヒトと関わることの大切さ、愛おしさに気付かせてもらった。自分が今存在しているのも奇跡で、また誰かと遭遇できたのも奇跡。さらに、一期一会の精神に立った時、その奇跡はさらに大きなものになるような気がする。 (NS)
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sheau-ching-san.gif 《その1》アメリカの友人Gさんが日本人の彼女と初めて一緒に日本へ遊びに行った時、新幹線から降りたら、自分の財布が無いことに気がついた。どこで無くしたか、盗まれたのか (?) も全然分からなかった。旅行中にこんなことに遭遇するなんて運が悪い…とショックを受けた彼は、ダメ元で、とりあえずその駅の駅員室へ行った。何と、誰かがその財布を駅員室に届けてくれていた!「日本は本当に素晴らしい国!」と感動してアメリカに帰ってきたGさんは、あれから何回も日本を訪れた。《その2》前の家は Balboa Park のキャニオンから近いため、いろいろな野生動物がよく庭にやって来た。何と “きつね家族” に遭遇したこともあった! ある晩、外でキャーキャーと人が騒いでいて、家の外へ出てみると、ガレージの上に狐が5匹座っていた! 2匹が大きくて (親きつね?)、3匹がとても小さいきつね。「ええっ?」とびっくりした! 生まれて初めてきつねを見た! 我が家の庭に出入りしていたきつね家族は2週間後に完全に姿を消した。キャニオンに戻ったのかなぁーと?? (S.C.C.N.)
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yoko 私が小学生のころは、野良犬に遭遇することが多かった。家は学校から一番遠い地域にあった。真面目にさっさと歩くとそんなに掛からないのだろうけど、やっぱり小学生。遊びながら、だらだら道草しつつ歩くので、登下校に1時間くらい掛かっていた。草花を摘んだり、虫を見つけたり、石を蹴ったり、もういろいろ。捨て犬、捨て猫にもよく遭遇していた。たびたび家に連れて帰っては、母親に飼えないと言われ、泣く泣く諦めるか、こっそりと飼っていたりもした。従姉妹たちと、こっそり隣りの家の木材置き場 (不法侵入!) で飼っていた子犬は、すぐに母に見つかって叱られた。その後、その子は祖父母の家で飼ってもらえることになった。口の周りが黒く、白足袋を履いた赤毛の雑種犬で「リキ」と名付けられた。でも、すぐに手遅れの寄生虫の病気が見つかり、大きくなる前に死んでしまった。悲しかった。他にも、よく野良犬や捨て犬に遭遇したが、みんな人懐っこい子たちだった。良い人に保護されて幸せな〝犬生〟を送ったことを願う。 (YA)
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reiko-san サンディエゴに住み始めて、遭遇した野生動物たち。△スカンク。初めてスカンクの噴出する分泌液の匂いを嗅いだ時は、その悪臭さに衝撃を受けた。遠くに歩いているのを初めて見た時は、感激した。ガレージに迷い込んできたのと遭遇した時は、恐れおののいた。つい先日も、夜更けに庭に続く戸を開けた状態で猫と戯れていたら、暗闇から何かがこちらに向かって歩いてくる。何かと思って目を凝らしたらスカンクだった。すんでのところで戸を閉めたが焦った。あのスカンクの目的は何だったのか? △オポッサム。初めて遭遇した時、私もびっくりしたが、向こうもびっくりして目の前でパタンと倒れた。ショック死させてしまったのかと焦ったが、それが死んだふりだとわかり、安心した。△コヨーテ。この子との遭遇も衝撃的だった。猫を食べているところを目撃してしまったから。近所の人は飼っていたマルチーズを目の前でさらわれたことがあるらしい。△アライグマ。自分の家の庭で初めて見た時は嬉しかった。親子と思われる数匹のアライグマたちの愛嬌のある仕草が可愛かった。△ゴーファー。前庭が荒らされているなと思っていたところ、穴を掘っている現場に遭遇。穴から土が飛び出してきているので覗いてみたら、ゴーファーが顔をひょいと出し、目が合った (笑)。 (RN)
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suzuko-san このテーマから誰もが思い浮かべるのは、スピルバーグが1970代後半に作った『未知との遭遇』であろう。この映画はSFであるが、私の人生に “未知” ならず「未来との遭遇」とも呼べる出会いがあって、その遭遇に導かれるようにして、私はこのサンディエゴにいる、という実話をご紹介。姉がスイスにいた関係で、出版社を退職後、すぐにチューリッヒに飛んだ。翌日、姉と行ったアムステルダムでの話。ある日曜日の人通りのない交差点を渡ろうとすると、反対側から来る男性と遭遇。交差点の真ん中で「中国人?」「日本人?」と声を掛け合い、お互いに「ノー」。ここから始まる物語である。彼はシンガポール航空の機長であった。この遭遇がきっかけで、私はシンガポールに1年滞在する機会を得た。その数年後。アメリカの住宅の紹介という急な取材のため、渡米を迫られた。運よく、シンガポールで知り合った駐在員の奥様だった人がサンディエゴにいた関係で、私はその方に助けてもらい急きょサンディエゴに。この仕事が縁?となり、私はサンディエゴに住む選択肢が生まれた。全く考えもしなかった人生展開である。あの時の遭遇がなければ、私はサンディエゴのサの字も知らず、全く異なった人生を送っていただろうに…。ああ、なんと遭遇の素晴らしいことよ! (Belle)
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jinnno-san

会った人の顔をまったく覚えてないことが多い (笑)。ハッキリ言って失礼なヤツ (笑)。「初めましてー」と明るく挨拶した後に「以前会ってるよ」「えーー! あの ーー・・どちらで?」と、なるわけよ。つい先週、ティフアナの歯医者シリーズ2回目の帰り、巷 (ちまた) でヒップなフードトラックや飲み屋さんが軒を連ねている一角にブラっと立ち寄った。神経治療後に (いいのか 笑) ウマいサングリアをガブガブ飲むぞ (いいの? 笑) の勢いで1軒目へ。その時! カウンターの店員さんが順番を待っているわたしを指して「あなたのこと、知ってるわよ!」だって。「えーー、ウソでしょ! わたしはあなたを知らないよ (出た 笑)」「だって、異国の地で誰がわたしを知ってるのよ!?」「あなた Encuentro Guadalupe のバーで写真撮ってたでしょ!」・・・ひえぇー! 思い出した! このティフアナ人は、3年ほど前に『ポケット サンディエゴ』の取材で (飲みに 笑) 行ったエンセナダのワイナリーのバーで、バーテンダーをしていて、わたしに何杯もワインを注いでくれた女の子だああーー! しかし・・わたしって、そんなに飲んだくれたっけ? 本人も覚えてないことを、他人が覚えてくれてるだなんてーー。どこで誰と遭うか分からないから、これからはもっとお行儀よく飲みます! (そこ? 笑) (りさ子と彩雲と那月と満星が姪)

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短大を卒業した後、東京のある大学病院の外科医局で3年間働いた時の『遭遇』話。 ① 外科医局は別館の3階にあった。エレベーターを待っていたある日のこと。ドアが開いた。そこには2人のナースとご遺体が! ボディバッグに入っているので、一目瞭然。「すいません、次にします… 」 その時、初めて知った。別館の地下が霊安室ということを。予測していなかった、一瞬の強烈な遭遇。 ② 医局員とは言えども、いろいろな科に同期がいる。内視鏡室の同期から「元首相の 〇〇さんが大腸鏡しに来たよ! 普通のおっさんだった (笑)」とか、外来のナースから「西城秀樹(故、涙)が来たよ」とか、内線で連絡が来る。いいな~、私も遭遇してみたかった! ③ 別館の4階は会議室。ある日、「今週は4階、立ち入り禁止」という連絡が来た。な、なんと、病院を使ってドラマ撮影があるというではないか! 主役、沢口靖子! 会議室は俳優の控室に! 私の頭上にくつろいでいる沢口靖子がいるのね! いつもなら別館にめったに来ないナースたちも、何かと都合つけて別館にやって来る。「見た?」「いや、まだ見てません」「行ってみようよ」「じゃ、チロっと行ってみます?」  結局、厳重警戒で沢口靖子とは遭遇できませんでした … チッ。 (IE) (SU)


(2019年8月1日号に掲載)