September 13, 2025

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待ち合わせ

 

20代初めの頃、新古今和歌集が愛読書という◯◯さんとの初デートを1週間後に控え、私は焦っていた。センスの良い男を印象づけたいと、入念なデートプランを練りに練って当日に備えた。映画、観劇、音楽会の中から「N響コンサート」を選んだものの、夕食場所が決まらない。日記を読むと、グルメとは縁遠い自分が背伸びしていたのが窺える。当時の人気レストランから候補を3店に絞った。シビエのグラーシュが一押しのドイツ料理G店 (渋谷)、フルコースが評判のフランス料理L店 (新宿)、フォアグラのポッコンチーニが絶品のイタリア料理K店 (六本木)。事前に各店を巡り、実際に注文して最高の料理を厳ぶという涙ぐましい努力も…。待ち合わせ当日。大過なく初デートを終えて帰宅した私は、拘束から解放された人質のように疲れ果てていた。その後、会うたびに異様な疲れ方をする自分に気づき、付き合いは自然消滅。そして10年後、私は◯◯さんとは似ても似つかぬ元気な△△と結婚する。かたや文学的な正統派美人。こなた「NHKのど自慢」で抱腹絶倒している超庶民派。笑うために生まれてきた女。待ち合わせにプレッシャーなど微塵もなく、2人で寄席やB級グルメの大衆料理を楽しんだ。エエカッコシーでは「幸せ指数」を高められない。地味でも心の底から笑える人生が良いのだ…。(SS)
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▽学生のころから「待ち合わせは書店で」と決めていた。約束の時間まで情報収集ができて、遅れた相手に「本を探してたから」と伝えられた。本をきっかけに、初対面の相手とも会話をスムーズに始められた。今はスマホがあるので、暇つぶしには事欠かない。▽自分は「時間を守る」タイプだ。当然のマナーと思っていた。でも「このヒト面白い」と思える人は、皆一様に遅刻の常習犯が多い。だけど、会話がはずんで楽しい。だから、誰に対しても、時間の正確さを求めないようになった。▽時間を守ることは大切だけど、そこには特別な価値が生まれないような気がする。例えば、「遅れずにピザ届けます」よりも「焼くのに時間かかりますけど、極上のピザ届けます」のお店に注文したくなる。▽いつも会議に遅れてくるヒトが、意外なアイデアを出したりする。時間を分単位で守る「べき論」よりも、もっと「夢中」になっていることを優先させている気がする。ユニークなアイデアは、時間にルーズなおおらかさから生まれくるのかもしれない。▽マイペース人間のクレージーなアイデアを実践に移すには「時間を守ること」に命をかけているような人が不可欠だ。世の中には、時間に厳しい人もいれば緩い人もいて、両方のタイプの人間が必要だ。「待ち合わせ」に対して、自分にも他の人にも、もっともっと寛容になりたいと思う。(NS)
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reiko-san
△私の友人で、待ち合わせの時間に必ずと言っていいほど遅れてくる子がいた。15分程度は遅刻の枠には入らず、最長2時間近く待ったことがある。「あと◯分で着きます」と途中で何度か連絡が入り、到着すると、とても申し訳なさそうに何度も謝るのだが、次も同じことを繰り返すのだ。約束の時間の少なくとも数分前には待ち合わせ場所に着いていたい私は、最初の頃はイライラして「時間を守れないと、社会に出て苦労するよ」などと、生意気にもお説教を垂れたこともあった。でも、気の合う友達だったので、その子との待ち合わせは準備をして臨むようになり、心の平静を保つことができた (笑)。 △友人との待ち合わせに限らず、病院の予約など、約束の時間には余裕を持って間に合うようにしてきた私だったが、子供が生まれてから状況が一変。小さい子がいると予定通りに行かないことが多すぎた。ドクターアポにギリギリに到着したりが何度かあって、 余裕の幅をさらに広げて対応するようになった。普通なら5分で終わることは15分かかると予想して行動するなど。それでも遅刻したな〜。待ち合わせに遅れてくる人には、それぞれ止むを得ぬ事情があるんだと、暖かい目で見られるようになった。子育てを通して、自分もその辺、ちょっとだけ成長できたかな。(RN)
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suzuko-san
昨年、ある人と待ち合わせて、ありえない! 続けて4回トラブったことがあった。事の始まりは…一緒に歩こうと待ち合せた場所に現れない。時間にルーズな人ではないから、何か事情がと、連絡を取ろうとしたら、シマッタ! 携帯を忘れている! 慌てて店の人に電話を借り、彼女にかけたが、彼女は見知らぬ番号ゆえ電話に出ない。で、何度も何度もかけて、やっと20分後に通じて聞いてみると、同じ店の別の場所にいるという。そして今日はもう帰る、とも。次は彼女も行ったことのある店での待ち合わせ。私のミスで、場所は正しいが、似ていて異なる店名を伝えてしまった。彼女はその別店名でググり、全く別の場所に。自分もその店で食べたことがあるのに、変だと思わず、なぜ方向違いの場所に行く? で、3度目。彼女も知っているPBの店で待ち合わせるも、今度は彼女の勘違いでスペルを間違えて入力。結果、SDSU方面へ。で、今日は疲れたから帰ると。西に向くはずを東に向かう。それを変だと思わないのかと、とても不思議だった。4回目もほぼ同じ状況。で、私もちょっと切れて「どうして私が伝えたことでなく、ナビを信じるのよ!」。人の言葉や自分の記憶より、スマホに頼る。待ち合わせって、かくも困難なことだったのか? 待ち合わせの情報交換は念には念を! はい、肝に銘じます。 (Belle)
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jinnno-san
日本では「じゃあ、どこどこ駅の、北口前でねー」とか「地元ならスーパーは1件だから、ソコ」みたいにかるーく約束して、何事もなくこなせていたことが、文化の違う国ではどれだけ難しいかと、今思えば、よくできたわね、みたいな経験がある 笑。他の友達とは、こんなはっちゃかめっちゃかな条件での待ち合わせは絶対ムリ 笑。①バラバラな場所から集合。スコピエから2名、イスタンブールから3名、わたしはブカレストから。②Wi-Fiが普及してなくネットカフェでしかメールチェックできない。 ③イスタンブールから列車に乗り、ベオグラードで降りるので駅で待て。以上 笑。わたしは1人で、ベオグラードの無人駅で待った。誰もいない 笑。数時間後、誰かがわたしの名前を呼ぶ。スコピエ組が到着。でも、列車が来ない。一応、携帯でメールが見れるか確認したら、イスタンブール発の列車に遅れ (笑)。今日は着かない、到着は明朝。「えーー! 駅で野宿!?」。続きがあって「駅の前を500mまっすぐ、看板を左に曲がり、右手のビルの鉢の下に鍵があるから、それで2階の部屋に入り、寝ろ」笑! 3人で歩いて部屋を見つけ、床に横になる 笑。翌朝に列車が到着! ハラハラもんだったはずだけど、何事もなかったように (笑) トラベルは続く。大道芸人ミュージシャンたちとの珍道中体験は、まだまだあるよー! 笑。 (りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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昔は待ち合わせをするのが大変だった。携帯がないから、待ち合わせ場所に遅れそうになっても、友達がすでに家を出てしまっていると連絡の取りようがなかった。遅れると分かっていながら、ただひたすら急いで、待ち合わせ場所にたどり着くしかなかった。今はスマホのおかげで、遅れそうになる場合は前もって連絡することができる。さらにGoogleマップで行き先を設定すれば、交通状態も含め、到着時間を相手に伝えることもできる。とても便利な世の中になったものだ。だからといって、約束の時間に少し遅れてもいいとは思っていない。自分ひとりの時は、待ち合わせ場所には早めに着いて待っていることが多い。しかし、子供を持つようになって、何度か遅れてしまったことがある。幼かった頃は私がすべてを支度して、娘たちを抱えて家を出ればよかったので、まだ時間通りに動けたが、少し大きくなってくると大変になる。自分でやりたがる年頃になり、親の言った通りに動かなかったり…。正直言って、賢い大型犬を扱う方が楽なのではないだろうか。そんなこんなの経験から、最近は外出する時、子供たちに出発する時間を早めに伝えて支度をさせる。そして早めに家を出て、待ち合わせ場所の周辺で時間を潰すくらいの余裕を心がけている。(SU)

(2022年2月16日号に掲載)