September 13, 2025

ペット

 

高校時代の夏休みに帰省した私を待ち受けていたのは、旅行中の叔父家族が飼っている犬を散歩させる役目だった。犬種はラフコリー。名前はラッシー。見た目はTVドラマの主役犬そのもの。散歩初日。ある家から小犬が唸り声を上げながら、歯をむき出しにしてラッシー目がけて突進してきた。大きな図体とは裏腹に、ビビッて逃げ惑うヘタレな “迷犬ラッシー”。パワーに引っ張られて転倒した私は右ヒザを擦りむいた。振り返ると、飼い主らしき夫婦 (?) が笑いながら謝っている (笑うか?)。難を逃れた私とラッシーは公園で休息を取っていた。道端に落ちていた古いテニスボール。私が何の気なしに蹴り飛ばしたら、それに反応して脱兎 (だっと) のごとく猛ダッシュ! 後を追いかけた私は、再び転んで左ヒザも擦りむく。翌日、同じ轍 (てつ) を踏むまいと散歩コースを変えたら、他犬とのトラブルもなく、愛犬を連れた若い女性と出会ってを挨拶を交わす。このルートは 「天国」 だった。母に聞いたら、彼女は近所に住む◆◆さんの娘で女子高生だという。「向こうはヨークシャーテリアを連れていた。名前は何?」「マリだよ」と母。翌朝、彼女の愛犬に向かって「マリ、マリ!」と手招きしたら、本人が驚いた顔で「私に、何かご用ですか?」 (母さん、私は犬の名前を聞いたんだ)  (SS)
blue_line932
▽SD動物愛護協会から手紙が届いた。「◯◯病院から、XX (ペット) の思い出のギフトを受け取りました。XXを偲んで贈られたこのギフトは、私たちが世話をしている動物が、新しい家族のもとで生き、愛を与えるチャンスになります。どうぞ、あなたの慰めになることを願っています」。▽昨年12月に天国へ旅立った我が家のネコが世話になった病院が、愛護協会に寄付金を送ったお礼の手紙だ。検査をたくさんして、治療が始まる前に容体が急変。私のベッドの上で逝ってしまった。▽XXは、もともと野良猫だった。情が移って家に入れたとたん、可愛いくてメロメロになった。あれから7年以上、当たり前のように毎日一緒に暮らした。冬の寒い日は布団に入ってきたり、時々、抱っこ散歩やかくれんぼをしたり、たくさんの癒しと笑いをもらった。▽天国のそばには、愛する人と別れた動物たちが集まっている「虹の橋」があるという。いつか時が来たとき、その「虹の橋」で動物と人間が再会して一緒に天国へ行けるとのこと。でも、残してきてしまった誰かさんが悲しんでばかりいると、動物たちは「虹の橋」の入口の「雨降り地区」で寒さに震えているそうだ。ここに降る雨は、特別な誰かさんの流す涙とのこと。まだ、別れの悲しみは癒えないけれど、XXが「虹の橋」で楽しく遊べるように、泣かないことに決めた。(NS)
blue_line932
   
 
yoko
生まれて初めてのペットは、犬のコロ だったらしい。というのも、私が覚えている限りコロは、家から車で2時間ほどの祖父母宅の庭にいつもいたから。小・中学生の頃、夏休みや冬休みには祖父母の家に遊びに行っていた。祖母は「コロはもともとYちゃんのパパが拾ってきたんよ。Yちゃんの家にしばらくおったんやけど、パパが連れてきて、おばあちゃんのところで飼うことになったんや」 と言っていた。祖父母の家は農業をしていて、広い敷地に家屋と納屋と田畑、雑木林もあった。コロは茶色でブチ、大きめの中型犬、半垂れ耳に巻きしっぽの 『生粋 (きっすい) の雑種犬』 という風貌だった。裏庭につながれていて、犬小屋があり、ご飯は夕食の残り物の、お味噌汁かけご飯が定番。まさに “昭和の犬” のイメージ。祖父母、叔父叔母、いとこたちに可愛がられていた。祖父母の家に滞在中、コロと叔母といとこと散歩に行っていたのを覚えている。田んぼの畦道や土手で草花を摘んで、貯水池の蒲 (がま) の穂を眺めながら、祖父母の家の近所を探索した。コロは私が18歳になるまで生きた。祖母も3年前に亡くなり、今は叔母が家を管理していると思う。いつか訪ねてみたい。 (YA)
blue_line932
reiko-san
△私の記憶にある最初のペットはセキセイインコのオスとメス。仲の良いつがいだった。数年飼っていたある日、カゴの扉がなぜか開けっ放しになっていて、オスが逃げてしまった。一羽残されたメスは寂しそうだった。数週間後、出先の駐車場で車内に座っていた母。開けておいた窓からセキセイインコが飛んで入ってきて、座席にちょこんと座った。それも逃げたオスのインコにそっくり。興奮した母は、窓を閉め、そのまま家まで連れて帰ってきた。家族みんなでそのインコをじっくり見つめる。よく見ると逃げた子のようにも見えるし、そうじゃないようにも見える。残されていたメスのいるカゴに入れたところ、喧嘩 (けんか) もせず仲良くできそう。ということで、そのオスインコは我が家に迎え入れられた。△金魚、メダカ、十姉妹 (ジュウシマツ)、いろいろなペットを飼ってきた。鶏、うさぎ、羊、子豚がいた頃は、近所の子供たちが珍しがって、我が家の動物たちに会いに遊びに来ていたっけ。△私が熱望して犬を飼い始めたのが高校生の頃。ゴールデンレトリバーのバロン。陽気で優しい子だった。△数年前から猫を飼い始めた。私の人生で初めての猫と一緒の生活。最初の頃は互いに慣れないこともあったけれど、今は猫たちのいない生活が考えられないくらい。ペットは心のオアシスです。 (RN)
blue_line932
suzuko-san
この国に来て驚いたこと。一軒家だけでなく、アパート住まいの人でさえ、ペットを飼っている人の何と多いことよ。私自身、18歳で
東京での下宿生活、続いてアパート、そしてマンションと住み替えたが、もちろん、日本の狭い集合住宅でペットの飼育が許されている訳もなく、本人も忙しい編集記者生活をしていたので、仕事以外の時間は自分の面倒を見るので精一杯。ペットを飼う、ペットが欲しいなどという発想はどこにもなかった。故に、35lbまでは許されている現在の住まいでも、NOペット。欲しいと思ったことも一度もない。いればいたで、恐らく可愛い、癒されるという感情は生まれるだろうが、若くして兄、母と亡くした私は “死” に対する恐怖が人一倍強いのだろうと思う。死に接するのは、避けられない家族だけで十分だ。ペットは普通なら私より先に死ぬ。死への恐怖心が人一倍強い私が、その死体を自分で処理をするなんて考えられない。故に、ペットは持たないというのが信条。私の友人で「ペットに現 (うつつ) を抜かしている人が信じられない」と、常日頃言い放っていたのが、友達の猫を預かって以来、すっかり猫好きに。それが嵩 (こう) じて、最近2匹も飼い始めて、すっかり虜 (とりこ) になってしまっている。それほどペットの魅力とは大きいものなのね! (Belle)
blue_line932
jinnno-san
愛知県春日井市の区画整理で、何と、今年3月に家が取り壊しになっちゃった。庭に建ってた1LDKほどの庭付き 笑。“ネコの家” も撤去。ネコ4匹の住み家がなくなったので、新しい家に同居となった。せっかく家を建てるのだから、部屋と部屋をつなぐネコ用ヒミツのトンネルを (床下に 笑) 作ろうだの、ネコ用の梁 (はり) をめぐらそうだの、楽しいだけで、お金のかかる&後のことを考えない 笑 アイディアをバンバン出したけど、総却下 笑。トンネルでおしっこ&ウXコしたら、床からモアっとくっさいし、誰がどうやってトンネルに入って掃除するのだとか 笑、鳥&小動物&トカゲやらをくわえて、頭上の梁を走りまくったら悲劇だとか —— 笑。あとはネコ用地下室。ヒミツ基地、的な? 笑。当然、却下 笑。ネコはご存知のように、やたらと引っかく。結局、4匹はお母ちゃんの部屋に住むことになり、そこには立派な障子があるのだけど、引っかきよけに、障子の上にベニヤ板を貼っちゃった 笑。障子からの木漏れ日もへったくれも、ない 笑。お父ちゃん&お母ちゃん念願の、老後に建てたドリームハウスの平屋なんだけど、相変わらずネコ中心の生活が続いているわー。ちなみにお父ちゃんはネコが苦手。家の中でネコに会って、キャット叫んでネコんだらしい 笑。お母ちゃんはネッコからネコ好きね! 笑。 (りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
blue_line932
今は亡き愛犬『もも』。小学生時代に、どうしても犬が欲しくて親にねだりまくり、家に迎えたミニチュア柴犬。パピーの時はもちろん、成犬になってもかなり童顔で、散歩をしていると、すれ違う人々に「あら~、かわいいね~」とよく言われたものだ。私のおねだり『もも』だったので、夕方の散歩は私の仕事。高校生になって、彼氏が家に来ているのに、私の母は徹底して私を散歩に行かせた。彼氏はその間、昼寝。しかし、そのおかげで『もも』は私にとても協力的♡。夜中に家を抜け出して遊びに行く時も、吠えずに「行ってらっしゃい!」、吠えずに「お帰りなさい!」と私を受け止めてくれた。そんな『もも』を置いて、私はサンディエゴに留学した。そして、そのまま結婚して永住。私の役目は父親が引き継いだ。『もも』の最晩年の頃、父親が毎日抱っこして散歩していたのが近所でも話題になったそうだ。実家に帰ると『もも』の写真が飾られていて、最後まで一緒にいてあげられなかったのを無念に思う。そして現在、パピーを迎えて3か月。まだ、生後5か月。『もも』にあげられなかった愛情まで、たっぷり注いであげたいと思う。(IE)
blue_line932
今、我が家で飼っているペットはパグとポメラニアンとシーズーのミックス犬 (雄)。とてもフレンドリーで人間が大好き。ドッグパークに行っても、他の犬たちと遊ぶよりも、彼らの飼い主に駆け寄って挨拶しまくる。また、寒いのも暑いのも苦手で、お散歩は15分ほどですぐに疲れる。私が犬を飼う前に心に描いていた理想の犬は、おすわり、お手、取ってこい、などが一通りできて、リードを外しても、ご主人様の側を離れない「賢い犬」だった。我が家の愛犬は、おすわり、お手だけを気分によってはしてくれる。でも、リードを外せばどこまでも走って行ってしまう。戻ってきたと思うと、手が届きそうなスレスレの距離を走り抜け、また遠くへ逃げる。しかし、他の人が近くにいると、すぐに走り寄ってくるので簡単に捕まってしまい、飼い主のもとへ連れ戻される。よくテレビなどで見かける「おやつの空中キャッチ」もやってみたいと思い、試しにおやつを投げてみた。予想通りに反応が鈍く、頭におやつが当たって床に落ち、落ちたおやつをクンクン探すという間抜けぶり。躾 (しつ) けをちゃんとしなかったので当然だけれど、まぁ、我が家の犬だから、ちょっと (かなり?) 間抜けがちょうどいいし、可愛いのだ。 (SU)

(2021年9月1日号に掲載)