若い頃は中古車でアメリカ国内を旅行したが、フリーウェイよりも一般国道や州道を好んでいた。米国の風情と興趣を強く感じ、深く記憶に残る「事件」に遭遇したのもローカル道だった。米軍基地近辺で体験した忘れられないロードトリップ2題。▽30年前、カリフォルニア州道62号線上のジョシュアツリー国立公園前のホテルで、地元に伝わる幻の「Giant Rock Airport」を耳にした。パワースポットと怪奇現象の連載記事を書いていた私は興味を抱く。3日間滞在し、勘だけを頼りに砂漠の道なき道を進んでいくと『未知との遭遇』 の宇宙船発着所に似た、殺風景ながら広大な飛行場が忽然と現れた! 海兵隊航空地上戦センターが近くにあり、エアポートの正体について質問メールを送ろうとしたが、興味本位で米軍と接触するのが恐くなり、ヤメた。▽ネバダ州ファロン海軍航空基地に近い一般国道95号線を走行中、背後から迫る1機の戦闘機 (F-16 ファルコン?) がバックミラーに映る。あろうことか、低空飛行を始めたかと思うと、車の上を轟音とともに掠 (かす) め去り、再び高度を上げ、前方上空で旋回し、正面から同じことを繰り返して姿を消した。恐怖に慄 (おのの) く私。公道を走る私の車を標的にして、機銃掃射の空射シミュレーションをしていたに違いない。その非常識ぶり。どういう了見なのかと腹が立った。 (SS)