米国に出張中の友人から電話が入り「明後日、帰国する前に、空港で少しだけ会えないか?」と打診してきた。「どこの空港だ?」 と聞くと、ジョージ・ブッシュ国際空港だという。絶句する私。「ヒューストンに来いってか?」「カリフォルニアからテキサスは近いだろ?」ヤツは東京—新大阪の距離感覚で話してないか? 「会ってどうする?」「空港のパーキングでキャッチボールしよう」・・。私は深い脱力感に襲われる。「心配するな。2人分のグローブとボールがある」。そういう問題じゃないと思いながら承諾した(行くんかい!!)。フライトを利用するのはヤメた。車なら帰路の道中に、巨大なサボテン群生が見事な「サワロ国立公園」、神秘的な異観の世界遺産「カールスバッド洞窟群」などの観光スポット巡りもできる。レンタカーを借り、自宅を早朝に出て、丸一日かけて I-8 → I-10 をひたすら東へ進み、約1,600マイルを走破した。非常識な友人 (自分もな!) と再会したのが翌日午前9時頃。駐車量の少ない空港の片隅で、しばしのキャッチボールに興じ、1時間足らずで別れた。あまりにも長い走行距離に反して、異様なほど短い滞在時間。非生産的で、突拍子 (とっぴょうし) もない、ダイナミックな約束を平気で実現させてしまう仲間がいることを、むしろ誇らしくさえ思った。(SS)