September 1, 2026

「スーパーエルニーニョ」 サンディエゴはどうなる スクリップス研究所は慎重姿勢

8/30/2026

Super El Nino l■スクリップス研究所がFAQガイドを公開

UCサンディエゴのスクリップス海洋研究所 (Scripps Institution of Oceanography) の研究者らが、今冬に予想されるエルニーニョ現象について、複数部構成のFAQガイドを公開した。エルニーニョとは何か、なぜ今年の現象が異例の強さになり得るのか、科学者はどのように追跡しているのかを解説した内容だ。サンディエゴ市の職員が記録的な「スーパーエルニーニョ」への備えを進めるなか、一部の科学者は、南カリフォルニアが歴史的な豪雨や洪水に見舞われるかどうかを判断するにはまだ早すぎると指摘している。

■過去の大規模事例は記録的な多雨年

サンディエゴにとってエルニーニョは、降雨の増加、大きなうねり、沿岸部の浸水、海水温の上昇を意味することが多い。スクリップスの気候研究者ダン・ケイヤン氏は、2026〜27年にかけて強く発達しつつある今回の現象に強い関心を寄せている理由として、1982〜83年と1997〜98年の大規模事例がカリフォルニア史上有数の多雨年だった点を挙げる。過去の傾向としては、エルニーニョ年にはサンディエゴ郡で冬の嵐がより強く、より頻繁になるケースが多かった。

■「統計的な確率」 断定は避ける科学者たち

一方でケイヤン氏は、個々の嵐の要素をエルニーニョに部分的に帰することはできても、最終的に手元に残るのは「イエスかノーか」の断定ではなく統計的な確率にすぎない、と慎重な言い回しを崩さない。今世紀に入って海洋条件と降水量の関係は弱まっているとの指摘もあり、予報の前提そのものを調整する必要が出ている。行政側も、豪雨と洪水のシナリオだけでなく、逆に降雨が少なく火災リスクが高まるシナリオまで幅広く想定しなければならない状況だ。

■海洋熱波 スクリップス桟橋で42回の記録更新

サンディゴ沖ではすでに海洋熱波が発生している。今年は複数のビーチで海鳥の死骸が確認され、これとの関連が指摘された。スクリップス海洋研究所の沿岸観測プログラム (Shore Stations Program) によると、8月16日時点で、ラホヤのスクリップス桟橋の観測点では、その暦日としての最高記録を更新した日が今年すでに42日に達している。人工衛星セントinel-6マイケル・フライリッヒが2月23日から8月10日にかけて捉えた画像でも、太平洋の海面が平年より高くなっている様子が確認されている。

■浸水被害地域の不安 老朽インフラも課題

2024年1月の豪雨で深刻な浸水被害を受けたサウスクレスト地区チョラス・クリーク沿いの住民にとって、強いエルニーニョの到来は同じ災害の再来を意味しかねない。備えはすでに始まっているが、サンディエゴ市の雨水排水システムの老朽化や、築100年を超えるダムの存在が不確実性をさらに増幅させている。サンディエゴ郡水道局 (San Diego County Water Authority) の気象専門家によれば、海面水温が平年より0.5度上昇した時点でエルニーニョと認定され、1.5度に達すると「非常に強いエルニーニョ」と宣言される。現在観測されているのは、まさにその水準だ。

■備えは今から

エルニーニョは、太平洋の中部・東部熱帯域で海面が暖まり、通常はアメリカ大陸からアジア方向へ吹く貿易風が弱まる、あるいは逆転することで発生する。暖かい海水が西太平洋からアメリカ側へ押し戻され、上昇気流が雷雨を生む仕組みだ。豪雨、大波によるビーチの侵食と桟橋への打撃、逆に雨が少ない場合の火災リスクと、想定されるシナリオは幅広い。住宅の雨どい清掃、排水溝の確認、非常用品の備蓄など、冬本番を迎える前にできる備えを進めておきたい。


︎上の画像は AI が生成したイメージです。