July 14, 2025

サンディエゴ、全米9番目の高コスト都市に


6/23/2025

コミュニティ経済研究会議 (C2ER) の四半期生活費指数によると、サンディエゴの生活費が全米平均の約1.5倍に達し、今年の「四半期コストオブリビング指数 (COLI)」でボストンを抜いて9位となった。これにより、同市は昨年10位から一つ順位を上げ、依然として米国屈指の「生活費の高い街」の仲間入りを続けている。


▪️“サンシャインタックスの実態

住民は長年、海辺の景観や温暖な気候と引き換えに「サンシャインタックス」と呼ばれる高コストを支払ってきた。従来は家賃や長い通勤が主因とされたが、今年は日常品目の値上がりが家計を直撃している。

 

▪️食料外食小売価格の急騰

全米的にはインフレが落ち着きつつあるものの、サンディエゴではオレンジジュースが10セント、パルメザンチーズが25セント、牛ひき肉が1ドル上昇するなど、スーパーやレストランでの支出が大幅に増えた。COLIでも食料品価格はロサンゼルスやボストンを上回り生活費上昇の新たな原動力となっている。


▪️家賃はわずかに下落も依然高水準

賃貸市場では平均家賃が月3,127ドルと前年より0.8%下落したが、住宅価格自体が高止まりしており、下げ幅は生活全体の負担軽減には至らない。日常消費の上昇が家賃低下分を相殺し、住民は「安くなった実感がない」と嘆く。

 

▪️沿岸部都市が上位を独占

COLIのトップ10はニューヨークのマンハッタン地区が1位で、ホノルルを含めすべて太平洋大西洋沿岸部に集中カリフォルニア州はサンノゼサンフランシスコオレンジ郡ロサンゼルス、そしてサンディエゴ5都市圏が入り、州全体の高コスト傾向を裏付けた。


▪️物価上昇率は全米を上回る

1〜3月期の消費者物価指数 (CPI) では、全国的な伸び鈍化に反してサンディエゴは上昇が続き1年ぶりの高水準を記録。特に、光熱費外食費の伸びが顕著で、インフレ沈静化の恩恵を受けにくい構造が浮き彫りになった。

 

▪️住民と行政の課題
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高賃金産業の集積観光資源に支えられる一方、住宅供給不足物価高が中・低所得層を圧迫し、地域格差を拡大させている。サンディエゴ市は再開発計画Blueprint SD」などで住宅供給拡大を図るが「誰もが住み続けられる街」への道のりは険しい。


▪️今後の展望


連邦レベルでの利下げ観測や州の家賃抑制策が功を奏しても、食品やサービス価格の高止まりが続けば、サンディエゴは引き続き “高コストの楽園” であり続ける可能性が高い。気候と暮らしやすさという魅力を保ちながら、どれだけコストを抑えられるかが将来の競争力を左右しそうだ。



*コミュニティ・経済研究会議 (C2ER) の四半期生活費指数のオリジナルサイト:
 https://www.coli.org/press-release-for-immediate-release-2025-q1/