サンディエゴ、全米9番目の高コスト都市に
6/23/2025コミュニティ・経済研究会議 (C2ER) の四半期生活費指数によると、サンディエゴの生活費が全米平均の約1.5倍に達し、今年の「四半期コスト・オブ・リビング指数 (COLI)」でボストンを抜いて9位となった。これにより、同市は昨年10位から一つ順位を上げ、依然として米国屈指の「生活費の高い街」の仲間入りを続けている。
▪️“サンシャイン・タックス” の実態:
住民は長年、海辺の景観や温暖な気候と引き換えに「サンシャイン・タックス」と呼ばれる高コストを支払ってきた。従来は家賃や長い通勤が主因とされたが、今年は日常品目の値上がりが家計を直撃している。
▪️食料・外食・小売価格の急騰:
全米的にはインフレが落ち着きつつあるものの、サンディエゴではオレンジジュースが10セント、パルメザンチーズが25セント、牛ひき肉が1ドル上昇するなど、スーパーやレストランでの支出が大幅に増えた。COLIでも食料品価格はロサンゼルスやボストンを上回り、生活費上昇の新たな原動力となっている。
▪️家賃はわずかに下落も依然高水準:
賃貸市場では平均家賃が月3,127ドルと前年より0.8%下落したが、住宅価格自体が高止まりしており、下げ幅は生活全体の負担軽減には至らない。日常消費の上昇が家賃低下分を相殺し、住民は「安くなった実感がない」と嘆く。
▪️沿岸部都市が上位を独占:
COLIのトップ10はニューヨークのマンハッタン地区が1位で、ホノルルを含めすべて太平洋・大西洋沿岸部に集中。カリフォルニア州はサンノゼ、サンフランシスコ、オレンジ郡、ロサンゼルス、そしてサンディエゴの5都市圏が入り、州全体の高コスト傾向を裏付けた。
▪️物価上昇率は全米を上回る:
1〜3月期の消費者物価指数 (CPI) では、全国的な伸び鈍化に反してサンディエゴは上昇が続き、1年ぶりの高水準を記録。特に、光熱費や外食費の伸びが顕著で、インフレ沈静化の恩恵を受けにくい構造が浮き彫りになった。
▪️住民と行政の課題
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高賃金産業の集積や観光資源に支えられる一方、住宅供給不足や物価高が中・低所得層を圧迫し、地域格差を拡大させている。サンディエゴ市は再開発計画「Blueprint SD」などで住宅供給拡大を図るが「誰もが住み続けられる街」への道のりは険しい。
▪️今後の展望
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連邦レベルでの利下げ観測や州の家賃抑制策が功を奏しても、食品やサービス価格の高止まりが続けば、サンディエゴは引き続き “高コストの楽園” であり続ける可能性が高い。気候と暮らしやすさという魅力を保ちながら、どれだけコストを抑えられるかが将来の競争力を左右しそうだ。
*コミュニティ・経済研究会議 (C2ER) の四半期生活費指数のオリジナルサイト:
https://www.coli.org/press-release-for-immediate-release-2025-q1/