7/30/2025「サンディエゴ・コミコン2025」は167,000人超の入場者を集めて、コスチューム・コミックなどで賑わった4日間の祭典を7月28日に閉幕した。
会期中の主な出来事と会場周辺の動きは次の通り。
最大の話題は『スター・ウォーズ』の生みの親ジョージ・ルーカスがイベント史上初めてパネルに登場したこと。モデレーターは俳優でポップカルチャー・アイコンのクィーン・ラティファ。テーマはルーカスが設立を進める「ルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティブ・アート」で、未公開のコミック、プロップ、衣装を含む約4万点の収蔵品が披露される予定だという。
ルーカスは同館を「人々の芸術の神殿」と表現。サンディエゴ・コンベンションセンターのホールH (6,500席) は満員となり、観客はスタンディングオベーションとライトセーバーの光で歓迎したが『スター・ウォーズ』作品に関する具体的な言及はなく、恒例の観客Q&Aも行われなかったことから、イベント終盤はやや「肩透かし」の印象も残した。
会場外ではスタジオ各社が新作の話題作りを狙い、体験型プロモーション (アクティベーション) を展開。中でも最も楽しいと評判だったのは、チルドレンズ・ミュージアム近くの駐車場で行われた Peacock 配信作 ”Twisted Metal” (『ツイステッド・メタル』) の会場だった。作中車両の展示に加え、バンパーカーで “合法的に” ラッシュ時の鬱憤 (うっぷん) を晴らせる趣向が人気を集めた。最も革新的だったのは Google Play による新作映画 “Fantastic Four” (『ファンタスティック・フォー』) のブースで、来場者はグリーンスクリーンでの “飛行” 体験や、LEDフロアを踏み抜いて “怪力” を披露するゲームなど、各ヒーローの能力を模したセクション巡りを楽しんだ。最も大掛かりだったのはFXネットワークによる新ドラマ “Alien: Earth” (『エイリアン: アース』) の会場となった墜落宇宙船のセットや “エイリアン” ポッド。暗く狭い艦内通路を再現し、映画さながらの不穏な佇 (たたず) まいと不気味さを演出した。
味覚でも話題を呼んだのが、復活を控える ”King of the Hill” (『キング・オブ・ザ・ヒル』) のブース。写真撮影やゲームに加え、トライティップのBBQソース掛けやポーリッシュソーセージの炙り試食が振る舞われ、来場者の胃袋をつかんだ。
他にも印象に残った光景があった。ペトコパークへ向かう歩道橋の階段で興奮のあまり「ああ、疲れた」と呟 (つぶや) く来場者が見られた。展示フロアでは、コミックやコレクションに混じってポップカルチャー柄のオーブンミットなどの珍品も目に付いた。一方、最も売れたのは各種折りたたみ椅子で、長蛇の列での一休み用として重宝されていた。
「アメコミ王」と呼ばれたジャック・カービー (1917-94) の「コミコンの来場者は皆ナイスな人たち」という過去の映像コメントを紹介した「CCI Lost Videos」パネルは、初期コミコンの記憶を呼び起こして観客を喜ばせた。
今年のコミコンを締め括ったのはファンの支持が厚い映画監督ケヴィン・スミス。1995年から参加を続ける常連として、会場のホールHを笑いと逸話で沸かせた。
コミコンは一度限りの話題だけでなく、世代を超えるファン文化の継承と拡張の場であることを今年も改めて示した。