October 29, 2025

サンディエゴ動物保護協会、猫40匹救出 高齢入院女性による飼育崩壊か

10/28/2025

サンディエゴ動物保護協会 (San Diego Humane Society) は、サンディエゴ市内のスタジオタイプ (ワンルーム) アパートから計40匹の猫を救出したと発表した。救出活動は一度では終わらず、室内環境の悪化や猫たちが隠れてしまう状況から、数週間にわたり複数回に分けて実施された。

▪️通報から救出まで
8月6日に地域住民から「複数の猫がいるようだ」「強い異臭がする」との通報が入り、当局が現場となった同市内 Imperial Ave. のユニットを調査したところ、その部屋の住人である高齢女性が入院中で、もはや猫の世話ができない状態であることが判明した。動物保護当局は建物の管理会社と家族の協力を得て室内に入り、猫の安全な保護を開始。室内の状態や猫が家具などに潜んでいた事情から、救出は一度では完了せず、段階的に進められた。

▪️合計40匹を段階的に保護
保護は少なくとも3回に分けて行われた。
• 9月17日:15匹
• 9月24日:11匹
• 10月1日:14匹
最終的に合計40匹が無事に保護されたと報告されている。
猫たちはサンディエゴ動物保護協会に搬送され、ワクチン接種や健康チェックを受けた。複数の猫には上部気道感染 (猫風邪など) の症状が見られ、治療が行われたという。

▪️飼育放棄/多頭飼育崩壊への対応
今回のケースは、飼い主が体調不良や入院などで世話ができなくなった結果、猫の数が制御不能に増え、狭い住環境に多数が取り残される「多頭飼育崩壊」に近い事例とみられる。高齢者が孤立した場合に起こりやすい問題として、地域や当局の早期介入の重要性が改めて示された。
40匹もの猫が狭い部屋に取り残されていた今回の事例は、単なる「可哀想 (かわいそう) なペットの話」ではなく、高齢化や孤立、飼育責任、地域の支援体制といった社会的課題を浮き彫りにしている。動物保護現場は、緊急保護と同時に「これ以上悪化する前に助けを求めること」の重要性を地域に呼びかけている。


*サンディエゴ動物保護協会:サンディエゴ郡内14都市の動物サービスを担い、サンディエゴ、エルカホン、エスコンディード、オーシャンサイド、ラモナに拠点を置く非営利団体。年間4万匹以上の犬猫・野生動物を保護・治療し、全米でも動物福祉の先進的機関とされる。同協会は「健康な動物、治療可能な動物は殺処分しない」という方針を掲げ、2015年にはサンディエゴ市を「治療可能な動物を含め殺処分ゼロを達成した全米最大の都市」に導いた実績がある。今回保護された猫たちも、医療ケアと安全な環境のもとで新たな受け入れ先が検討されることになる。