11/26/2025
カリフォルニア州各地で、高級車や新型車を狙った「ハイテク型の車両盗難」が増えているとして警察が注意を呼びかけている。それは信号を盗んで車を持ち去る新トレンド。従来の抉 (こ) じ開け型とは異なり、車の電子化に合わせて犯行も高度化。家の外からキーの電波 (シグナル) を盗み取って車を始動させ、短時間で走り去るケースが確認された。アナハイム市警察は直近の週末だけで少なくとも2件の高級車盗難を捜査中だという。
▪️2つの手口:タブレット侵入型と電波中継型
警察が把握している手口は大きく2種類ある。1つは「タブレット侵入型」。車内に侵入したうえで、専門工具に似たタブレット端末を車のコンピューターに接続し、システムを再設定して走らせる方法だ。物理的な侵入を伴うため、窓割りやドアこじ開けの痕跡が残ることが多い。もう1つがより厄介な「電波中継 (リレー) 型」。家の外に立った犯人がアンテナ状の機器でキー (FOB=Free on Board) が発する信号を拾い、仲間に中継する。仲間はその信号を使って車の施錠を解除し、エンジンを始動して持ち去る。玄関付近にキーがなくても、室内の電波が増幅されれば被害に遭う可能性があるという。
▪️被害者証言:鍵は台所にあったのに・・
アナハイムヒルズで11月12日に起きた事件では、犯人の1人が玄関へ近づき、侵入を試みるように見せかけながら、頭上にアンテナのような道具を掲げて電波を捕捉したとされる。被害者は「鍵は台所に置いていた。まさか、アンテナで車を盗まれるとは思わなかった」と驚いている。
▪️警察が勧める対策:住民側の備えが不可欠
捜査当局は早期逮捕を目指しつつ、住民の自衛も不可欠だと説明する。具体策としては、
• 車の始動を妨げる隠し式の「キルスイッチ」を取り付ける
• ガレージがある家庭は屋内駐車を徹底する
• キーを玄関近くに置かず、家の奥に保管する
• 電波を遮断する「ファラデーバッグ (電波遮断ポーチ)」にキーを入れる、
などが挙げられた。
▪️万能ではないアルミホイル
ネット上で広まる「キーをアルミホイルで包む」方法について、検証サイトSnopesは一定の遮断効果を確認した一方、始動時にはキーを取り出す必要があり、完全防御にはならないと指摘する。あくまで補助的手段として、複数の対策を組み合わせることが重要だとしている。
▪️電子化と防犯のいたちごっこ
車の利便性を高めたキーレス化や電子制御が、逆に新たな犯罪機会を生む構図が浮き彫りになった。警察は「車の技術が進めば、盗む側も技術で迫ってくる」として、今後も同種被害が増える恐れがあると警告。地域全体での警戒と、日常の保管・駐車習慣の見直しを呼びかけている。