Tuesday, 20 May 2025

トランプ政権の関税政策に12州提訴 「違法かつ経済に混乱」 憲法秩序の転覆疑念、施行差し止め求める

5/3/2025

トランプ大統領による関税政策を違法として、全米12州が4月23日、ニューヨークの米国国際貿易裁判所 (US Court of International TradeITC) に提訴した。訴状によれば、この政策は「法的権限の健全な行使ではなく、大統領の恣意 (しい) 的な決断に基づいている」と主張されている。

今回の訴訟では、トランプ氏が「国際緊急経済権限法 (International Emergency Economic Powers ActIEEPA)」を根拠に独自に関税を課す権限を持つと主張していることに異議を唱え、裁判所に対し、関税を違法と認定し、政府機関およびその職員による施行を差し止めるよう求めている。司法省へのコメント要請には、記事配信時点で回答は得られていない。

原告に名を連ねたのはオレゴンアリゾナコロラドコネチカットデラウェアイリノイメインミネソタネバダニューメキシコニューヨークバーモント12州

アリゾナ州司法長官クリス・メイズ氏は声明で、トランプ氏の関税政策を “狂気” と表現し「経済的に無謀であるだけでなく違法だ」と非難した。コネチカット州司法長官ウィリアム・トン氏も「トランプ氏の無法で混乱を招く関税は、コネチカット州の家計に大きな負担を強い、同州内のビジネスと雇用に壊滅的な打撃を与えている」と指摘した。

訴訟では、憲法上、関税を課す権限は議会にのみ付与されており、大統領が国際緊急経済権限法を発動できるのは「異常かつ著しい脅威が海外からもたらされた場合に限ると主張している。トランプ氏が恣意的に緊急事態を宣言し、自由に関税を課していることは「憲法秩序を転覆させ、米国経済に混乱をもたらしている」と訴えた。

また先週、カリフォルニア州知事ギャビンニューサム氏も、北カリフォルニア連邦地方裁判所においてトランプ政権を提訴した。ニューサム氏は、カリフォルニアが米国最大の輸入州であることから、関税政策により数十億ドルの歳入損失が生じる可能性があると指摘している。

これに対し、ホワイトハウス報道官クシュ・デサイ氏は、トランプ政権は、米国産業を壊滅させ、労働者を取り残す国家的緊急事態に対処するため、関税や交渉を含むあらゆる手段を用いる決意を持っている」と述べ、政策を正当化した。