2024年6月17日
ワイオミング州の州都シャイアンの市長選に人工知能 (AI) で生成された自動プログラムが「候補」として届け出された。
「先端技術とデータに基づく意思決定を市政にもたらす」と訴える「AI候補」に対し、同州幹部は「AIに立候補資格はない」と主張するなど、前代未聞の市長候補者をめぐる論争に拍車をかけている。
AIの出馬を認めるかどうか地元当局が判断するという。
地元メディアが報じた。
市民のビクター・ミラーさんが対話型AIのチャットGPTを駆使して創り出し、「仮想統合市民 (Virtual Integrated Citizen)」の
頭文字を取って「VIC」の名前で届け出た。
シャイアン市のウェブサイトでは、候補を2人に絞る予備選と11月の本選で構成される市長選に届け出た6人のうちの1人として名を
連ねている。
AIであれば、あらゆる情報を織り込んで政策判断できるとミラーさんは主張する。
当選すれば自身がAI候補を操作するが、判断は全て委ねるという。
AI候補も、出馬は人間のリーダーシップと先端技術の融合を政治の世界で実現する道を開き「画期的だ」と自賛する。
一方、ワイオミング州法は登録された有権者のみが立候補できると定めている。
同州の選挙を管轄するチャック・グレイ州務長官は「出馬できるのは有権者だけで、実在する人間である必要がある」と指摘し、AI候補を認めないよう求めた。
「あらゆる選択肢を検討する」と地元当局者。
投票用紙の準備のため、7月上旬までに決定するとしている。
(2024年7月1日号掲載)