6/25/2026
▪️6対3の判決 トランプ政権の大きな勝利に
米連邦最高裁は6月25日、ハイチ人約35万人とシリア人約6000人の「一時的保護身分 (Temporary Protected Status=TPS)」を廃止するトランプ政権の方針を認める判決を6対3で下した。保守系6判事の多数意見を執筆したアリト判事は、国土安全保障省 (DHS) にはTPSの延長や終了を決定する広範な裁量権があり、下級裁判所が行政判断に介入したのは越権行為だと判示した。ホワイトハウスの報道官は「TPSは定義上、あくまで一時的なものだとトランプ大統領が一貫して主張してきた通りだ」と声明を発表した。
▪️ハイチ・シリア両コミュニティに大きな衝撃
この判決により、長期にわたって合法的に米国内で生活・就労してきた数十万人が、法的根拠を一夜にして失うことになった。原告団の弁護士ジェフリー・ピポリー氏は「多くの人が暴力的で不必要な死を迎えることになる。それが私を眠れなくさせてきた」と訴えた。ハイチ人TPS保有者約19万人が就労しており、米経済への貢献額は推計59億ドル、連邦・州・地方税への納付額は16億ドルに達するとの分析もある。看護施設や工場などの雇用主からも、突然の労働力喪失を懸念する声が相次いでいる。
▪️FIFAワールドカップの歓喜が翌日に暗転
皮肉にも、この判決はFIFAワールドカップ2026でハイチ代表が1970年以来初めてグループステージに出場し、アトランタでモロッコ戦を闘った翌日に下された。試合前日まで赤と青のユニフォームに身を包んでW杯の喜びを分かち合っていたハイチ系移民コミュニティが、翌朝には強制送還の恐怖に直面するという二重の衝撃が全米で報じられた。「昨日は夢のようだった。今日は現実に引き戻された」というファンの声がSNSで拡散した。
▪️少数意見が「人種差別的動機」を指摘
反対意見を執筆したリベラル系のカーガン判事は、トランプ大統領がハイチを「クソみたいな国」と呼んだ過去の発言などを引用し、「これらの発言は人種的な含意が満ちており、大統領のハイチ人排除の意志に人種差別的動機が入り込んでいたことを明確に示している」と批判した。下級審ではハイチ人のTPS廃止に「黒人およびハイチ人への嫌悪に基づく反黒人差別」があったと認定する判決も出ていたが、最高裁多数意見はこれを退けた。
▪️13か国以上のTPS保有者にも波及懸念
今回の判決はハイチとシリア以外にも影響が及ぶ可能性がある。ベネズエラ、エルサルバドル、ウクライナ、エチオピアなど計13か国以上からの移民がTPSによる保護を受けており、今回の最高裁の論理が適用された場合、同様の廃止が相次ぐ可能性がある。議会では民主党議員がTPS保護を2029年4月まで延長する法案の審議加速を求めているが、共和党多数の上院での見通しは厳しい。今後の下級審での審理も継続しており、事態はなお流動的だ。
✳︎上の画像は AI が生成したイメージです。