1958年に姉妹都市提携を結んだ横浜市とサンディエゴ市は、国際姉妹都市の草分け的存在となっています。 定期的な公式代表団の親善訪問を中心として、教育、文化、産業、経済など幅広い分野に亘って交流を重ね、両市は姉妹都市提携50周年を迎えました。 昨年10月27日に横浜市より100名近い市民文化交流団を迎えて記念交流会を開催。 山火事で延期された記念祝賀昼餐会および姉妹都市提携再署名式が2月17日に行われ、サンディエゴ市を訪れた中田宏市長にお話を伺いました。 —— サンディエゴの印象 サンディエゴは、明るく広大で気候が良く、非常に開放感のある街だと感じました。 港町といっても、コンテナ船や客船が多く出入りする横浜港と違って、ラホヤビーチなど、自然の海岸線の美しさが印象に残りました。 また、街を歩いてみると、多民族、多文化が共存する都市のダイナミズムも感じます。 アメリカの方々からも、住んでみたい都市の一つとされていると聞いていましたが、そのとおりだと思いました。 50年前、横浜はよくぞサンディエゴを姉妹都市に選んだと、先輩たちに感謝ですね。 —— 今後の両市の展望 横浜市とサンディエゴ市の交流の特徴は、過去50年、常に市民を中心とした交流が行われてきたということです。 即ち、横浜にあっては「横浜サンディエゴ友好委員会」が、またサンディエゴにあっては「サンディエゴ横浜姉妹都市協会」が、半世紀にわたる交流を途切れることなく培ってきました。 私は、このような市民間の友好を中心としながら、経済や学術など、より実利的な分野でも交流を深めていきたいと考えています。 —— 最も力を入れている分野 市民間の友好の強化は大いに促進すべきですが、これについては前述した2つの民間団体がしっかりと進めていただいていますので、心配ありません。 私は、行政として、両市の共通の強みであるITやバイオなどの最先端産業の分野での協力を進めていきたいと考えています。 2003年には「経済・学術交流に関する覚書」を締結し、今回の訪問では、横浜市大とUCSDとの学術提携の更新を機に、両大学を中心とした産学連携の新たな展開に期待をしています。 —— 「経済・学術に関する覚書」について 平成15年度の覚書は、期限の到来にあたり平成18年に終了しました。 現在はさらに実質的な経済交流へと発展させるため、横浜市のバイオ中核機関「木原記念横浜生命科学振興財団」が横浜市の窓口となってサンディエゴ市のバイオ業界団体「バイオコム」やUCSD・コネクトとの情報交換を継続しています。 この提携期間中、サンディエゴのバイオ産業界を代表する方々を横浜にお招きして学生やバイオ業界関係者を対象とした講演会を行ったり、横浜企業団がサンディエゴに訪問したりするなどの交流を行いました。 —— 横浜市政の改革 私は就任以来、かつての「右肩上がり」の人口や税収を前提としたシステム・サービスを改革し、昨年度、市の借入金残高を将来にわたって削減し続ける道筋をつけました。 改革の成果は金融市場からも高く評価され、昨年、スタンダード&プアーズ社から市債について当時の日本国債と同等という格付けを受けたのですが、海外投資家からの注文が殺到し、急きょ発行額を増やしたこともありました。 こうした改革は追い込まれて余儀なく進めた面もありましたが、今後はもっと市民生活にプラスになる「創造的改革」を増やしていきます。 例えば、横浜ではごみの分別を全市で実施し、30%以上の総量削減に成功していることを応用し、360万市民が取り組む脱温暖化・緑化運動を展開しようと知恵を絞っているところです。 横浜の先進性・創造性を磨いて国際的なプレゼンスを高め、人や企業を呼び込むことも目下の課題で、北京、釜山、台北、ムンバイなどのアジアの主要都市との関係を強化しながら企業誘致を進めています。 IT・バイオや映像コンテンツなどの成長産業の誘致も重要ですから、市の北米事務所を昨年秋にニューヨークからロサンゼルスに移し、さらに力を入れていきます。 (2008年3月1日号に掲載) |