ゆうゆうインタビュー ジャンチブ・ガルバドラッハ

100_janchiv_galbadrakh.jpg

—— 「新モンゴル高校」について

100_mongol1.jpg
ガルバドラッハ校長先生と家族の皆さん
モンゴルの高校は通常2年教育ですが、同校は初の3年制高校で、国際水準のカリキュラムを実践し、学習面では日本の進学高をモデルにしています。英語と日本語という2つの外国語を同時に学び、理数科目にも力を入れ、全国アカデミック・オリンピックで物理と化学で8名の優秀者が出ています。モンゴル国を代表して世界オリンピックに出場した生徒も10名以上います。開校以来8年間で100人以上の留学生を日本や米国に送り出しました。


—— 高校創設の動機と現状

長女が入学した山形西高校の教科書・カリキュラム に強い興味を持ったのです。学習レベルが高く、これからのモンゴルに必要だと。受験を目的とする日本教育の欠点を見直し、モンゴル教育の優れた面である豊かな心の育成をバランスよく取り入れたカリキュラムを目指しました。最大の理由は、モンゴルで高校を卒業しても年数が足りず、海外の大学から受験資格が与えられないという事実。国際水準に達した3年制高校の導入が不可欠でした。


——
東北大学での留学生活

100_mongol3.jpg
モンゴル遊牧民の移動式住居、ゲル
4人の娘が山形市内の小・中・高校に通っていたので私も山形市に居住し、仙台市の東北大学に通学していました。片道約1時間の電車通学では車内が 格好の勉強の場でした。東北大学での博士論文テーマは「モンゴルにおける高等学校のカリキュラム開発」。入学1年目から新設高校のカリキュラム (案) や学校像を具体的に描いていたので、翌2000年に新モンゴル高校を開校できたと言えます。


——
苦労話とエピソード

日本での大学院留学は最初の1年半だけ国費で、その後は私費留学生となりました。家族6人で物価の高い日本で生活することは 厳しく、苦労が絶えませんでした。でも、その苦労が今の私をつくってくれたと言えます。1日に3つのアルバイトをして、4時間しか寝ない日々が続きました。私の妻は一生懸命に働き、家族を支える大きな柱でした。彼女がいたからこそ新モンゴル高校が開校できたので、本当に感謝しています。妻は今年1月に事故で亡くなりましたが、彼女と共有した夢を追い求めていくのが私の使命と思っています。


——
我が人生の転機

100_mongol2.jpg
サンディエゴで開催された「ガラ校長先生歓迎会」
日本に留学したお陰で今の私があると思っています。日本にいて、一つの国がこんなに発展できることに感動しました。その秘密は教育にあります。特に、福沢諭吉のような明治維新の改革者たちの精神に大きな啓発を受けました。 転換期にあるモンゴルは 明治維新の状況に似ています。多くの若者が「国を良くしたい」との高い志と大きな夢を抱いて立ち上っています。


——
初渡米の目的

新モンゴル高校の卒業生たちの多くが日本へ留学していますが、今後は世界の優秀な若者が集まる米国にも留学生を送りたいとの希望があり、査察のために渡米しました。 もう一つの目的は、毎年サンディエゴから我が高校を訪ねていらっしゃる高橋晃先生、そして遠くから本校を応援していただいている Mongol Education Fund の皆様と会うことでした。


——
高橋晃先生との出会い

100_mongol4.jpg
新モンゴル 高等学校
本校では日本語を第二外国語として教えていますが、3年間で370時間しか学んでいない生徒にとって日本の大学を受験するのは厳しい状況でした。卒業生の日本語能力をアップするサマースクールを開くことになり、アメリカにいる高橋先生のご協力を得ることができました。本当に運命の出会いでした。高橋先生のお陰でサマースクールは予想以上に成功し、1期生の中から6名が日本へ留学できたのです。高橋先生は渡り鳥のように毎夏モンゴルへ来られて、卒業生たちの留学実現に大きく貢献して下さっています。


—— 今後の夢

新モンゴル高校の設立から早くも8年が経過しました。私たちの高校はモンゴルの教育改革の先駆けとなり、これまでに具体的な成果と実績を残してきました。将来は母国全体の教育環境が改善され、質の高い教育が実現されることを願っています。自分が持っている経験や知識を活かして、全国レベルでの教育改革にこれからの人生を捧げることこそが私の夢ですね。


—— サンディエゴの皆さんに一言

100_mongol5.jpg
高橋晃先生とモンゴルの生徒たち
温かく迎えていただき本当に感謝しています。当校の教育環境が向上し、在校生たちが頑張ることができるのも、皆さんのご支援の賜物です。是非一度、新モンゴル高校を訪ねていただいて、生徒たちとの交流の場を設けたいと思っています。モンゴルで再会できる日を楽しみにしています。




 


ジャンチブ・ガルバドラッハ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1963 年5月18日、モンゴル・アルハンガー県に生まれる。1981年ウランバートル市立第53学校卒業後にモンゴル国立大学物理学部に入学、1985年卒業。 1985~95年まで田舎の高校、国立農業大学で物理の教師、教育研究所での研究員、市立第84学校に赴任。1995年10月~1997年3月まで国費留 学生として山形大学で教員研修、1997~99年まで山形大学教育学研究科修士課程、1999~2005年まで東北大学教育学研究科博士課程後期に学ぶ。 2000年10月に新モンゴル高校を開校し、同校の校長兼理事長に就任。愛称はガラ校長先生。

・家族構成:子供5人。20〜26歳の4人の娘と6歳の息子がいる。孫も2人
学生時代の部活動: バスケットボール (モンゴル国立大学のチームメンバー)
尊敬している人: 父親
カラオケ十八番: よく歌うのは「とんぼ」(長渕剛)
趣味: スポーツ(バスケットボール)
好きな相撲力士: 安馬
ストレス解消法: 家族と一緒にいて、息子、孫と遊ぶこと
好きな食べ物:ラーメン、アイスクリーム
得意な料理: モンゴルの肉うどん
マイブーム: インターネットで情報を探す



モンゴル教育基金 (Mongol Education Fund) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

新生モンゴルを背負う生徒たちを応援しようと、サンディエゴ大学の日本語教師で自らも日本語教室を主宰している高橋晃さんが2004年度に創設した教育基 金。高橋さんは2003年の夏から1か月間に亙って「新モンゴル高校」で日本語を教えるボランティア活動を毎年実施している。同基金ではご賛同頂ける方の ご寄付を随時募っています。ご協力の際は小切手の受取人を Mongol Education Fund として Japanese Language Class (4683 Mercury St., #H, San Diego CA 92111)までお送り下さい。


(2008年10月16日号に掲載)