急速な高齢化社会への対応に加えて、腰痛や肩こり、そしてストレスなどの現代病の治療へのニーズは年々高まりを見せていますが、日本人を始めとする数多くの患者さんへの診療を手掛け、我々サンディエガンの強い味方となっている関戸カイロプラクティックセンターが、この度、開院21周年を迎えました。 院長の関戸順子先生は、カリフォルニア州のカイロプラクターとしてのライセンスを日本人女性として2番目に取得し、また鍼灸師としての資格も所有する「療術業」の草分け的存在でもあります。最近では、血液検査に基づいた栄養学やホメオパシーのカウンセリングなども実施して顕著な効果を上げています。 そして2002年4月には、治療院2階に、州政府承認のカリキュラムを通して真のマッサージ治療師を育成するメリディアン自然医療学院を開校し、後進の育成にも当たっています。 —— カイロプラクターを志した経緯 父がカイロプラクター、母は整体師として開業していましたので、幼い頃から人を癒す東洋医学の現場を見てきました。 母は家族の健康を考えてオーガニック野菜の栽培などもしていましたし、生まれつきアレルギー体質だった私も両親の治療のお陰で元気になったんです。西洋医学は一般的に病気そのものを治療しますが、東洋医学は体内を流れる「気」の滞りを解消して患者さん自身が持つ自然治癒力を引き出し、その力で症状を和らげようとします。 病気を治すというより人を癒す̶̶ そんな東洋医学の素晴らしさを目の辺りにして、両親と同じ道を進むことに決め、カイロプラクティック発祥の地アメリカに留学しました。 ——メリディアン学院について カイロプラクター、鍼灸医、漢方医、自然学医として得た長年の知識や技術を多くの皆さんに伝えるためにメリディアン学院を開校しました。 優秀な講師陣を揃え、プロのマッサージ治療師や自然医療医プラクティショナーを目指す職業訓練プログラムに加えて、一般向け講座も用意しています。 大切な家族や身近な人のために癒しのテクニックを身に付けることは、ストレスに満ちた現代社会を生きる上でとても貴重なことです。顔や頭のマッサージ、妊婦を対象としたチェアマッサージなど、覚えてしまえば誰でも簡単にできます。 中国式マッサージやタイ式マッサージなどが主流なのですが、今流行のホットストーンやアロマセラピーなども取り入れています。 —— 将来の夢 本年度より、当学院でプロのマッサージ師を目指す生徒さんは国家試験の受験が義務付けられるようになりました。 この試験に合格すると全米で通用するライセンスが取得できます。受験科目が増えて負担は重くなりますが、その分、活躍できる舞台も大きくなります。 一流のマッサージ師として必要な知識、技術、そして心を身に付け、学院の生徒さん全員が合格できるよう全力を尽くしてサポートしたいと思っています。 また現在、当学院では学生ビザが発行できるよう、その準備を進めていますので、近い将来、東洋医学に関心がある生徒さんが世界中から集まってくるような自然医療学院を目指していきたいと思っています。 —— 至福を感じる時 患者さんの目に生き生きとした輝きが戻った時ですね。 昔から「医は仁術なり」と言われていますが、医療に携わる人間に一番求められるものが“思い遣り”の精神なのです。患者さんの痛みを自分の痛みとして治療に当たっているわけですが、辛い顔をして来られた患者さんが笑顔で帰って行かれると、この仕事をしていて良かったと思います。プライベートではカヤックを楽しんでいる時ですね。時間に余裕がある夜はコロナドのハーバーでのんびりとカヤックを漕いでいます。夜空に瞬く満天の星に包まれながら潮騒を聞いていると、とても気持ちが落ち着くんです。 ——読者の皆さんにひと言 健康は掛け替えのない宝物です。でも、油断すると消えてしまいます。 「自分の健康は自分で創る」という自覚を持って正しい食生活、適度な運動、心のリラクゼーションを習慣として身に付けるようにしたいですね。 そのためには「自分自身を知る」ことが大切です。 自分に合った食事の取り方を知らない人は偏食や過食気味になってしまいますし、気分転換が苦手な人はストレスを溜め込んでしまいます。 自分自身を知る̶̶。ほんの僅かな努力で、私たちは誰でも自分の人生をより良いものにすることができます。
(2004年11月16日号に掲載)