July 2, 2025

失敗

 

▽私の初恋は7歳。小粋に着こなした柄の良いシャツ、端正に折り曲げた上着の袖口、都会的でスタイリッシュなベレー帽がチャームポイントという、ボーイッシュな魅力に溢れる少女だった。彼女宅の郵便箱の上にそっと “初恋文” を置いて (中に入れましょう!)、木陰から成り行きを見守る私。すると、手紙は一陣の秋風に吹き飛ばされ、優雅な弧を描きながら舞い落ちて、枯葉の中の「紙切れ」となった。そして、家から出てきたお婆さんに電光石火のごとく掃き捨てられてしまった。その絶妙なタイミングと手際の良さに呆然とし、この思いは通じないと確信。この失敗がトラウマになったのか、以来、私はラブレターというものを書いたことがない。
▽私が入学した私立高校は附属中学エスカレート組を合わせて首都圏出身者が約8割を占めていた。残り2割は私を含む地方出身者で、都会の事情に疎いばかりか、言葉の端々 (はしばし) に出る地方訛 (なま) りに気後れを感じていた。入学直後に有志が集まり、喫茶店で親睦会が開かれた。私には初めての喫茶店体験。皆がナポリタンやカレーピラフをオーダーする中、カツ丼を注文した私に 「ユーモアのセンスがスゴい!」 と一同大爆笑。これを機に人気急上昇。失敗転じて何とやら。本当にカツ丼を食べたかった私は、冷や汗をかいていた。 (SS)
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▽その昔、入社試験の面接で 「かぎょうは何でしょう」という質問に「カキクケコです」と元気よく答えた私。一瞬、微妙な空気が流れ、その後、面接官たちが大爆笑。入社後のあだ名は「カ行のヒト」となった。▽若かりし頃、初めてお茶会に参加した時のこと。茶席も終了し、しずしずと皆が退席する中、次は私の番!とおもむろに立ち上がったらドタンと倒れてしまった。あまりの緊張で、足がコンニャク化していることに気付かなかったのだ。寂を破って鳴り響いた爆笑の渦と緋毛氈のように赤くなった顔の火照りだけは今でも忘れられない。▽失敗からの立ち直りが、驚くほど早い同級生がいる。受験に失敗、留学挫折、バブル崩壊、会社倒産、離婚、台風による土砂災害、ビジネス拡大による不良債権など、いろいろな難局を、笑いながら乗り越えてきた彼が教えてくれたヒントは次の通り。気になっていることを紙に書き出す。どうなりたいかだけを考える。運動する。楽観的になる。プロに相談する。いつも自分の味方でいる。どっしりと構えた木でも、折れるときは意外とあっさりポキッと折れてしまう。「折れない強さ」より、失敗からよみがえる、彼のような「しなる力」を身に付けたいと思った。 (NS)
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「失敗は成功のもと」だと思う。失敗の経験がない人は、成功した時の嬉しさを感じられないかも。昔の私は料理が嫌いで、下手で、何を作ってもイマイチだった。インスタントラーメンさえ手際よく作れなかった。お金がなく、節約しないと生活できなかった貧乏学生時代は仕方なく自炊していたが、本当に不味かった! アメリカに来てから、デカいオーブンがあるので、オーブンに入れれば何とかなるということが分かり、少しは料理が “できる” ようになってきた。そして、日本と母国の台湾と違って、アメリカにはいろいろな人種がいるので、食材の豊かさもそれなりに凄い! そのせいかもしれないが、料理するのがそんなに苦手じゃなくなってきた。そして、コツを身に付けて食材を揃えれば、おいしい料理は結構簡単に作れることが何となく分かるようになった。今では毎日楽しくいろいろな料理を作って、キレイに盛り付けしている。今度は何に挑戦しようかなぁ〜と。 (S.C.C.N.)
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yoko
高校生のころ、趣味でお菓子をよく作っていたのだが、時々、夕飯も作っていた。母が誉め上手で、何を作っても「美味しい、美味しい」と喜んでくれたので、私も張り切って、レシピを見て材料を買いに行って、ご飯を作っていた。ある日、料理雑誌『オレンジページ』で、チキンクリームコロッケを見つけて、それを作ろうと思った。小麦粉をまぶした玉ねぎをバターで炒めて、ミルクを少しづつ足してホワイトソースを作る。ホワイトソースに炒めた鶏肉と缶のコーンを混ぜて、俵型に丸めるのだが、生地が柔らかすぎて手にベタベタくっついて、全くまとまらなかった。冷蔵庫で冷やし足りなかったようだ。グチャッとしたものになった。おまけに揚げるために油に入れると、爆発して、見るも無残なクリームコロッケ?ができた。半泣きになって 「もう二度とクリームコロッケなんて作らない!」と怒っている私の横で、母は「味は美味しいわよ」と言って食べてくれた。私が料理をするのが好きなのは、母のお陰もあるかも。 (YA)
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reiko-san
新型コロナウィルスの影響で、家にいる時間が圧倒的に増え、パン作りを始めた私。友達から自家製サワドースターターを分けてもらい、憧れのサワドーブレッドを自分で焼くようになった。何回か焼いていると材料の分量もなんとなく覚えて、計量も適当になっていく。ある時、いつものように生地を作って発酵させ、オーブンで焼き上げた。クープもしっかり入って、こんがりしっかり焼き目も付いたパンは今回も美味しそう。お腹をすかせて待っている娘に最初のスライスをあげた。意気揚々と食べ始めたものの、いつものように「美味しい」と言わず、静かに食べ続けている。「どう、美味しい?」と聞くと、「It’s a little bit saltier than usual…」と一言。えー? そう? と私も一口かじると・・・ギョエー「ちょっとしょっぱい」どころじゃないしょっぱさ! 慌てて、娘に食べるのをストップさせた。こんなの食べたら一気に高血圧になってしまう。なんで? なんで? いつもと同じように作ったはずなのに〜。一晩発酵させて、早起きして焼き上げたせっかくのパンなのに〜。しょっぱすぎるパンなんて食べられない。もう塩の入れすぎは明白なわけで。2 tea spoon の塩を、私は自信たっぷりに 2 table spoon 放り込んでいた。涙の大失敗! (RN)
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suzuko-san
失敗?そんなものは日常茶飯事。数えきれない、覚えきれない、いや、敢えて覚えておこうとはしないから、どんな大きな失敗をしたか、わざわざ考えなくてはいけない。一番に頭に浮かんだのは…。大学入試の際、答えを万年筆で記入しなくてはいけない学校があった。それは十分承知の上で、入試に臨んで万年筆を取り出した。「あっ、カートリッジがない!」。既に入試開始直前。広い構内、購買部がどこにあるか知る由もない。慌てた、慌てた、あの時は。最近の失敗は旅に関することが多い。まず宿の手配。パソコンに入力する際、慎重にやったつもりなのに、3か月先や来年の予約していた、ということが2回続いて、自分の愚かさ加減を嫌というほど味わう。せめてもの救いは、一人旅なので、誰にも迷惑が掛かっていない、ということだけど。またある時は…旅の半ばでクレジットカードを携帯していないことに気づいてからドキドキだったこと。幸い、現金は多めに用意していたし、カードの必要性が生じなかったから、結果的に事なきを得たのだが、これだけ旅慣れているのに、クレジットカードを忘れるか? あほんだら! 自分にがっかりすること、この上ない。私の失敗の原因は、要するに、常に 「詰めが甘い!」 こと。失敗は成功のもと? 誰が言った!! (Belle)
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jinnno-san
ちょうど1年前はイタリアとイスラエルの旅行中~! イタリアはボローニャ (ミートソース発祥の地) で、ボロネ-ゼ、トルッテリーニ エン ブロードを食べるのが目的~。朝・昼・晩と違うお店でトルッテリーニ三昧。これがどこも超美味! 最後の空港でも店を探したら、あった 笑。しかも、街の中にもある100年の歴史の有名店だから味にブレはないであろうと。が! 最後に大失敗! 笑。なーんで、こんなにしょっぱい?! 笑。イスラエルでは死海に行くのに失敗のないよう、念入りに下準備。虫除けスプレー、日焼け止め、死海に浮かびながら使える防水iPhone入れ、わざわざCoast Plazaで水着 (子供用 笑)を新調。以上 (え?コレ普通の準備じゃね?笑)。テルアビブではホテルのプールが海水で、海も真ん前。この海水がね、すでに塩分が高くて、お尻が浮くのよー。こんな風に浮くんだと予行練習。さあ、いよいよ死海へ! 友達は早速、海パンになり海へ向かう。さあ、あたいも!って思ったら、何かが足りない? 何?・・・なんと!水着もってない! 地球の裏あたりまで来て、死海に漬かれないのか! 笑! ヤケになったあたいは服で入っちゃった 笑。帰りはズブ濡れ&エアコンで寒!笑。準備って忘れるから関係ないね~ (そうくる?笑)。(りさ子と彩雲と那月と満星が姪)
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①『終電大失敗』 短大卒業後、東京の大学病院に就職した。実家から乗り換えを入れて50分ほどの通勤。仕事後の飲み会は、医師がおごってくれることが多く、それも、自分では絶対に行かないお店に連れていってくれる、贅沢極まりない飲み会は積極的に参加した。が、私は上野発最終下り電車11時41分発に乗らなければならない! 走って間に合い、疲れ果てて、酒の入っている私は電車の中で爆睡。で、気付くと自分の駅が過ぎている! 慌てて下車し、上りのホームへ走る! 遅かった! 上りの電車が終わってしまった! パニックに陥る。親に電話して迎えに来てもらう? けれど夜中だし…しょうがない、タクシーしかない! 深夜料金も含めて1万円超え!! 飲み代タダだったのに、大失敗 (涙)。②『洗濯機大失敗』うちの洗濯機はフロントロードで、水抜きをしなければならない。ある日のこと、水抜きのプラグを戻すのを忘れて、洗濯機を始動してしまったのだ! その場からすぐ立ち去ってしまった私、そこから水があふれ出てくるのに、しばらく気付かなかった。あれ?なんか廊下のカーペットが濡れてる。ランドリールームのドアを開けたら洪水になっていた!そこからは数時間以上かけての掃除。最悪。ちなみに①、②の失敗、数回繰り返してます (笑)。 (IE)

(2020年10月1日号に掲載)