2/28/2025
サンディエゴの無料週刊誌「San Diego Reader」が最後の印刷版を発行し、今後は完全オンラインメディアとして運営されることが決まった。1972年に創刊された同紙は、52年以上にわたり地域のニュースやイベント情報を提供してきたが、時代の変化に適応するため紙媒体の発行を終了した。
■ 半世紀以上の歴史と紙媒体の終焉
San Diego Reader は、当時26歳だったジム・ホルマン氏によって1972年10月に創刊された。創刊当初は毎週木曜日に発行され、レビュー記事や風刺コラム、広告などが掲載される人気の週刊紙として成長。だが、インターネットの普及や広告市場の変化が業界に大きな影響を及ぼした。
特に、無料で広告を掲載できる「クレイグスリスト」の登場は、クラシファイド広告 (分類広告) 市場を激変させ、新聞社の収益を直撃。ホルマン氏は紙媒体終了を惜しみつつ、現実を受け入れる姿勢を見せた。
■ コロナ禍とコスト上昇が決定打に
他のオルタナティブ週刊誌が次々と紙媒体を廃止する中、San Diego Readerは長らく印刷版を維持してきた。しかし、2020年の新型コロナウイルスの影響で広告収入が激減。加えて、印刷や配達コストの上昇が経営を圧迫し、最終的に完全デジタル化への移行を決断した。
■ 新聞業界の転換点
今回の決定は、新聞業界全体が直面する「紙からデジタルへ」の大きな潮流を象徴している。半世紀にわたり、地域に根ざした報道を続けてきた San Diego Reader がデジタル時代でもその影響力を維持できるかは、読者の支持と新たな収益モデルの確立にかかっている。
*写真は、52年4か月間の雑誌発行に終止符を打った無料週刊誌「サンディエゴ・リーダー」の印刷最終版 (2025年2月13日)。今後は完全デジタル版としてオンラインのみで情報を提供する。© San Diego Reader