October 8, 2025

サンディエゴに高層住宅の波? 物議を醸す州法案、ニューサム知事署名へ

9/15/2025

カリフォルニア州議会で可決された法案「SB79」がギャビン・ニューサム知事の署名を待っている。成立すれば、サンディエゴを含む大都市圏の鉄道・地下鉄・ライトレール駅周辺で大規模な住宅開発が可能となり、最大75フィート (約23メートル=7階建てビルに相当) の高層アパート建設が地元の都市計画や住民意見に関係なく進められることになる。

▪️法案の狙いと背景
提案者はサンフランシスコ選出のスコット・ウィーナー州上院議員 (民主)。長年の住宅不足と公共交通機関の財政難という2つの危機に対応するのが目的だ。駅周辺での高密度住宅建設を促進することで、雇用地やサービスへの近接性を高め、車依存から公共交通利用へと人々を誘導する狙いがある。さらに、交通機関が所有地を開発できるようにし、収益源を確保する仕組みも盛り込まれている。
ウィーナー議員は「過去数十年で過度に制限的な政策が住宅費高騰と長距離通勤を招いた。今回の採決はその流れを転換し、交通渋滞や大気汚染を削減する大きな一歩」と強調した。

▪️長年の挑戦と成立の意義
駅周辺での開発促進構想は、ウィーナー議員が2018年から繰り返し提案してきたが、これまでは委員会で否決され続けてきた。今回の可決は、州議会が前例のないほど開発推進的な姿勢を示した象徴的出来事とされる。今年は都市部のアパート建設の多くを州環境審査法から免除する決定も下され、開発優先の流れが鮮明になっている。

支援団体のカリフォルニアYIMBYは「鉄道駅周辺での集合住宅合法化は結成以来の悲願だった」と声明を出し、大きな成果だと自賛している。

▪️反対派の懸念
一方、反対派からは強い反発を招いている。地元自治体の権限を重視する団体「Catalysts for Local Control」の創設者スーザン・カーチ氏は「低層住宅地の隣に7階建ての巨大建物が建ってしまう。地域社会には何も手立てがなく、壊滅的な影響を及ぼす」と批判した。

▪️サンディエゴへの影響
サンディエゴも例外ではなく、公共交通駅周辺での高層住宅建設が一気に加速する可能性がある。深刻な住宅不足解消に寄与するとの期待がある一方、景観や地域性を守りたい住民の間で摩擦が高まるのは避けられない。

SB79はニューサム知事の署名が見込まれており、成立すればサンディエゴを含む州内各都市の住宅政策に大きな転換点をもたらすことになりそうだ。


*YIMBYは「yes in my backyard」に由来する語で、NIMBY「No in my backyard」とは逆に、何らかの開発行為を支持する立場からの運動を意味する。