ピッチクロック、時間制限強化 故障者増加? ダルビッシュも懸念
2024年4月12日
大リーグで昨季から導入された投球間の時間制限「ピッチクロック」が、投手の故障を増加させているとの懸念が強まっている。
昨年は大谷翔平選手 (現ドジャース) らが手術に踏み切り、今季もエース格の投手が次々に負傷。
選手会が「前例のない脅威」と声明を出す事態となった。
時間制限の影響は多くの投手が体感している。
昨年9月に右肘手術を受けた大谷選手は「短い時間で多くの仕事量をこなすので、間違いなく負担は増えている」ときっぱり。
パドレスのダルビッシュ有投手も「しんどいことはしんどい」と漏らした。
今季は走者がいる場面での制限が20秒から18秒に短縮された。
まだ序盤ながら、昨季サイ・ヤング賞 (最優秀投手賞) に輝いたヤンキースのゲリット・コール、2020年に同賞を受賞したガーディアンズのシェーン・ビーバー、昨季最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得したブレーブスのスペンサー・ストライダーら大物投手が相次いで右肘を痛め、危機感が高まった。
選手会は、リーグが十分な検証を行わずに導入から1年でさらに短くしたことを厳しく批判している。
一方で、負傷が増えている要因は複合的との見方も。
通算257勝を誇るジャスティン・バーランダー投手は、球速や回転数の上昇に触れ「全てが少しずつ影響している。
一番大きいのは投球スタイルが変わったこと」と強調した。
テクノロジーの発達を背景に投打のレベルは飛躍的に進化しており、大谷選手も「軽く投げていく状況が先発投手でも少ない」と話す。
最先端の理論を追求するダルビッシュ投手は「もっと栄養やケアに目を向けていかないといけない」と対応策を挙げた。
(2024年5月1日号掲載)