12/1/2024
プロ野球ロッテの佐々木朗希がポスティングシステムによる大リーグ挑戦を容認されたことを受け、米国では移籍先を予想する報道が相次いでいる。
大谷翔平と山本由伸が所属し、ワールドシリーズを制したドジャースが最有力候補とされ、ダルビッシュ有と松井裕樹が在籍するパドレス、千賀滉大がプレーするメッツも名前が挙がる。
大リーグの規定で25歳未満のドラフト対象外の外国人選手はマイナー契約しか結べず、契約金が制限され年俸も低く抑えられる。
佐々木は23歳のため、資金力が限られた球団にも獲得のチャンスがあり、大争奪戦は必至。
メジャー公式サイトは「お金は最優先事項にはならない」とのアメリカン・リーグ幹部の声を伝えた。
同サイトは日本選手の在籍経験がある西海岸の球団が有利とし「一騎打ちとは言わないが、論理的にはドジャースとパドレスが2強で有力」「東海岸ではメッツに一番チャンスがある」との見方を紹介。
スポーツ専門局ESPNもドジャースを本命に挙げ、立地や育成面、強豪であることなど「山本と同じ理由でドジャースを好むと噂 (うわさ) されている」と報じた。
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佐々木のルーキーイヤーは1軍登板がなく、日本での実働は4年。
2022年の史上最年少での完全試合達成など圧巻の投球があった一方で、シーズンを通して先発ローテーションを守ったことはない。
誰もが一目を置く潜在能力に見合う実績を残せていないまま、戦いの場を移すことになる。
ドジャースの大谷と山本、パドレスのダルビッシュ有、かつてヤンキースで投げた田中将大らは日本で圧倒的な好成績を残し、チームを日本一に導いてからメジャーに挑戦した。
佐々木は今季の10勝が最多で、通算でも29勝に留まる。
優勝の経験もなく、十分な貢献を果たしたとは言い難い。
メジャーでは先発投手は中4日や中5日での登板が基本。
今季は最短でも中6日の間隔で投げながら右上肢のコンディション不良で約2か月間の離脱があったように、160キロ台 (100マイル台) の速球を投げる負荷に耐え抜く身体は完成しておらず、米国の厳しい日程で活躍できるかは疑問が残る。
1月の契約更改後の記者会見では「入団当初からの僕の目標。
野球選手として、レベルの高いところでプレーしたいと思っていた」と語っていたが、夢の実現を急ぎすぎている感も否めない。
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佐々木が該当するドラフト対象外で25歳未満の外国人選手の移籍期間は1月15日から12月15日まで。
ロッテがポスティングに掛けるのは申請期限の12月15日の目前とされ、年内で移籍が成立する見込みは低く、新たな期間となる来年1月15日以降に契約するとみられる。
ドラフト対象外の選手用の契約金は、各球団に毎年割り当てられる。
AP通信が報じた2024年の契約金の残りは、ドジャースが最も多く約250万ドル (約3億9,000万円)。
2025年になると新たな枠となり、各球団500万~750万ドル程度の資金を若手の外国人選手の獲得に注げる。
マイナー契約しか結べない佐々木が球団選定に金銭面を重視することは考えにくいが、2025年に契約する方が年内に移籍するよりも多い契約金をもらえる可能性が高い。
(文中敬称略)
*Picture: © II.studio / shutterstock.com
(2024年12月16日号掲載)