2/4/2025
2025年1月1日より、カリフォルニア州を含む全米20州で最低賃金が引き上げられた。
■ カリフォルニア州の最低賃金を$16.50ドルに引き上げ
今年1月1日より、カリフォルニア州の最低賃金が50セント引き上げられ、16.50ドル (時給) となった。これは企業の規模に関わらず全事業者に適用される。また、最低賃金の毎年の上昇額は消費者物価指数 (CPI) の変動に基づいて、州法で定められた計算式に従って決定される。
2024年11月には、2026年までに州の最低賃金を18.00ドルに引き上げる案が住民投票にかけられたが否決された。この結果、カリフォルニア州の最低賃金は、ワシントンD.C. (17.50ドル) とワシントン州 (16.66ドル) に次ぐ全米3位の水準となった。
■ 業界別の最低賃金:ファストフードと医療業界はさらに高水準
カリフォルニア州では、一部の業界では州の最低賃金を大きく上回る水準が適用されている。
① ファストフード業界
昨年4月1日より、カリフォルニア州のファストフード店の最低賃金は20ドルとなった。この引き上げに対し、業界団体や企業からは「雇用削減につながる」との懸念が示されていたが、連邦政府のデータによると、導入後も雇用減少は発生しておらず、逆に7,400人の新規雇用が生まれた。
② 医療業界
医療従事者の最低賃金も昨年10月16日に引き上げられた。ただし、最低賃金の水準は雇用主の種類や施設の規模などに応じて異なる。現在、医療業界の最低賃金は18.00ドル、21.00ドル、23.00ドルの3段階に分かれている。また、この医療業界の最低賃金は2026年から2033年にかけて段階的に引き上げられ、最終的に25.00ドルに達する見込み。
■ 主要都市の最低賃金:ウェストハリウッドが州内最高額の19.65ドル
カリフォルニア州の一部の都市では、州の最低賃金よりもさらに高い水準が設定されている。
・オークランド:ホスピタリティ業界 (ホテル・観光業) の労働者は18.36ドル、または24.48ドル (雇用主の福利厚生提供の有無による) に引き上げ。その他の労働者の最低賃金は16.89ドルへ。
・ロサンゼルス:観光業の従業員は2025年2月1日から22.50ドルとなり、2028年には30.00ドルに達する予定。
・ロングビーチ:住民投票の結果、2024年7月1日からホスピタリティ業界の最低賃金を23.00ドルに引き上げ、2028年には30.00ドルに到達する見込み。
・ウェストハリウッド:カリフォルニア州内でトップの最低賃金19.65ドルを維持。
・サンディエゴ:2025年の最低賃金17.25ドルから2026年または2027年に18.00に上昇。
カリフォルニア大学バークレー校労働センター (UC Berkeley Labor Center) によると、カリフォルニア州内の40の市・郡で、州の最低賃金を上回る水準が適用されている。
■ 最低賃金の適用には例外も
なお、多くの都市では最低賃金の適用に特定の条件が設けられている。例えば、年間で2時間以上勤務しないと最低賃金の対象外となるケースがあるなど、細かい規則が存在する。
カリフォルニア州では、最低賃金の引き上げが労働者の生活を支える一方、企業側の負担増を懸念する声もある。今後の経済状況や物価上昇の動向次第では、さらなる調整が議論される可能性が高い。