2024年8月8日
日本の現代音楽の発展に貢献した作曲家で文化功労者の湯浅譲二 (ゆあさ・じょうじ) さんが7月、肺炎のため東京都の自宅で死去した。
享年94。
福島県郡山市出身。
葬儀・告別式は近親者で行った。
喪主は長男龍平 (りゅうへい) さん。
独学で作曲を始め、医師を志して1949年に慶應義塾大に入学したが、現代音楽に触れて作曲家の道へ。
戦後に多様な前衛芸術を展開した「実験工房」で武満徹さんらと活動。
国内外で活躍し、オーケストラや室内楽、合唱、電子音楽などを幅広く作曲した。
代表作に、松尾芭蕉の俳句に発想を得た「芭蕉の情景」「クロノプラスティク」「ヴァイオリン協奏曲」などがある。
テレビや映画の音楽も数多く担当。
NHK大河ドラマ「徳川慶喜」や九重佑三子さん主演のドラマ「コメットさん」の音楽のほか、童謡「はしれちょうとっきゅう」も広く知られている。
カリフォルニア大サンディエゴ校 (UCSD) の教授や、桐朋学園大特任教授を歴任し、後進の育成に努めた。
90歳を超えても精力的に曲を書き、2023年8月には東京・サントリーホールで委嘱作品「オーケストラの軌跡」が初演された。
1997年に芸術選奨文部大臣賞、紫綬褒章、1999年に恩賜賞・日本芸術院賞、2014年に文化功労者。
*写真:文部科学省ホームページより
(2024年9月1日号掲載)