10/25/2024
スウェーデンの王立科学アカデミーは10月上旬、2024年のノーベル化学賞を、タンパク質の立体構造を高精度に予測する人工知能 (AI) を開発したグーグル傘下ディープマインド最高経営責任者 (CEO) デミス・ハサビス氏 (48) ら英米3氏に授与すると発表した。
AIやコンピューターを使った応用研究が医薬品やワクチン開発に貢献し、高く評価された。
他の2氏は同社のジョン・ジャンパー氏 (39) とワシントン大のデービッド・ベーカー教授 (62)。
ハサビス氏はAI囲碁ソフト「アルファ碁」の開発者でもあり、各国のプロ棋士に勝利したことで有名になった。
タンパク質はアミノ酸が紐 (ひも) 状に連なったもので、正しく立体的に折り畳まれて初めて機能を発揮する。
アミノ酸の配列からタンパク質の立体構造を把握することは「壮大な挑戦」とされていた。
同社のAI「アルファフォールド2 (AlphaFold 2)」は、この予測を自動化し、200万人以上が利用した。
ベーカー氏は2003年、コンピューターで自然界には存在しない新しいタンパク質を設計したと発表した。
望んだ形を作れるようになり、医薬品やワクチンなどの開発につながった。
それまで新しい機能を持つタンパク質を作り出すには、既存のものに手を加えるのが通例だった。
発表会見に音声で参加したベーカー氏は「大変光栄だ」と喜びを語った。
ハサビス氏らの功績に対しても「AIを応用し、精度を大きく向上させた」と讃えた。
授賞式は12月10日にスウェーデンで開かれる。
賞金1,100万クローナ (約1億5,000万円) の半分がベーカー氏に贈られ、残りをハサビス氏とジャンパー氏で分ける。
(2024年11月16日号掲載)