5/3/2025米国で百日咳 (pertussis) が急増している。
米調査報道サイト「プロパブリカ (ProPublica)」によると、百日咳の全米感染件数はパンデミック中の最低水準から1,500%以上も増加した。百日咳は乳幼児にとって命に関わる可能性があり、肺炎、呼吸停止、脱水症状、脳障害などを引き起こす危険性がある。毎年2~4人が亡くなっていたが、昨年は10人が死亡、今年もすでに2人が死亡し、さらに1人が関連死の可能性があると報告されている。
2024年に報告された百日咳感染者数は全米で35,435人に達し、うちカリフォルニア州では1,775人が感染した。人口10万人あたり4.55人の発症率となっており、同州全体としてのワクチン接種率は他州より比較的高い水準を維持している。しかし、プロパブリカはカリフォルニア州全体の平均接種率が高くても、郡や地域単位では接種率が大きく低下している地域があり、それが感染拡大の温床になっていると指摘している。
一方、麻疹 (ましん/はしか=measles) も再び脅威となっている。今年これまでに麻疹で800人以上が発症し、10件の集団感染 (3人以上の関連症例) が発生した。感染はカリフォルニアを含む25の州と地域に広がっている。これらの感染者の94%は集団感染によるものとされる。
ニューヨーク市の小児感染症専門医アダム・ラトナー氏は「これは単なる麻疹の問題ではない。公衆衛生に対する重大な警告」とプロパブリカに語った。また、ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院の教授でワクチン研究の専門家アンナ・ダービン氏も「このままでは、麻疹だけでなく、他のワクチンで予防可能な病気による大規模な流行が発生し、子供や若年層に甚大な被害と死をもたらす恐れがある」と警鐘を鳴らす一方で「それを完全に防ぐことも可能」とも述べている。
プロパブリカの報告によると、ルイジアナ州では過去半年間に2人の乳児が百日咳で死亡し、ワシントン州では10年以上ぶりに死亡例が確認された。アイダホ州とサウスダコタ州でも死亡例があり、オレゴン州では1950年以来最多の感染者数と2人の死亡例が報告されている。
ワクチン接種率の低下は、こうした感染症の拡大に直結している。今後さらに感染が広がる恐れがある中で、専門家たちは予防接種の重要性を改めて強調している。