10/24/2024
不振が続くコーヒーチェーン大手スターバックスが、経営再建に動いた。
外食大手で実績を上げた敏腕経営者のリモートワークを認める、異例の「破格待遇」で最高経営責任者 (CEO) として招聘 (しょうへい) した。
長引くインフレで消費者に節約志向が広がる中、新手を打つことで遠のいた客足の回復策を模索する。
スタバは今年8月、2023年からCEOを務めたラクスマン・ナラシムハン氏の退任を発表。
後任にメキシコ料理チェーン「チポトレ・メキシカン・グリル」トップのブライアン・ニコル氏が9月に就任した。
ニコル氏は2018年からCEOとしてチポトレを率い、店舗で発生した食中毒問題などで低迷していた同社を回復させた。
ニコル氏の在任中、チポトレの売上高は2倍、株価は8倍に上昇。
スタバの4~6月期決算は2四半期連続で減収減益に沈んでおり、外食業界で名の知られるニコル氏に業績回復を託す。
話題になったのは待遇ぶり。
欧米メディアによると、ニコル氏には収入補償として7,500万ドル (約110億円) 相当のスタバ株が付与されるほか、入社時に1,000万ドルの移籍金も支払われる。
年俸は160万ドルで、業績に応じて数百万ドル単位のボーナスも上乗せされる。
シアトルのスタバ本社に勤務する必要がなく、現在の居住地で約1,600キロ離れたCA州ニューポートビーチからのリモートワークが認められているという。
長期間の金利高止まりを背景に米国では景気減速も囁 (ささや) かれ、中国市場も低迷が深刻だ。
組織化が進む従業員の労働組合も経営圧力を強めており、難しい対応を迫られる。
スタバの独自性が薄らいで、他社のコーヒーチェーンに対する優位性が損なわれたとの見方もある中、ニコル氏の手腕が試される。
(2024年11月16日号掲載)