10/10/2024
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事 (民主) は9月末、州議会で可決した人工知能 (AI) 開発を規制する州法案 (SB 1047) に拒否権を行使した。
開発規模の大きいAIモデルの安全性をめぐる全米初の法律が成立するかどうか、全米からも注目されていた。
開発企業は「技術発展を妨げる」と反対し、地元大物議員も異議を唱えていた。
州法案は、重要インフラへのサイバー攻撃や、核兵器、化学兵器の製造などにAIが使われることを防ぐのが主な目的で、8月に州議会が可決した。
開発費1億ドル (約142億円) 以上のAIモデルを主な対象に、安全試験の実施や、問題発生時に備えた停止装置の導入を開発者に義務づけ、深刻な被害が生じた際に損害賠償責任が生じうると規定。
第三者による監査の実施や内部告発者の保護も盛り込んでいた。
ニューサム氏は声明で、開発規模に関係なくAIは危険を及ぼす可能性があるとして、規制対象の決め方を問題視。
法案が「最も基本的な機能にも厳格な基準を適用している」とも指摘し、AIが公共の安全にもたらす脅威を防ぐのに「最善のアプローチではない」と主張した。
AI開発企業の一部は「厳格過ぎる」と法案を批判し、州選出で民主党重鎮のナンシー・ペロシ元下院議長も「害悪が利益を上回る」と訴えていた。
AI規制は各国で議論が進んでおり、5月には欧州連合 (EU) による世界初の包括的な規制法が成立した。
*Picture: © Ringo Chiu / shutterstock.com
(2024年11月1日号掲載)