December 13, 2025

ビザ免除渡航者に「過去5年の SNS 履歴提出」義務 ESTA申請項目を大幅拡大 日本も対象

12/12/2025

トランプ政権下の米政府は、ビザ免除プログラム (Visa Waiver Program=VWP) を利用して渡航する外国人観光客に対し、過去5年分のSNS (ソーシャルメディア) 利用履歴の提出を義務化する方針を発表した。対象は日本を含む約40か国で、短期観光でオンライン申請するESTA (電子渡航認証) にも新たな項目として追加される。米税関・国境警備局 (CBP) が12月10日付で連邦官報に告示した。

▪️背景テロ安全保障対策として情報収集を強化
この新要件は、2025年1月に発令された大統領令14161「外国テロリストおよび国家安全保障上の脅威から米国を保護する」に基づくもの。CBPは、SNS履歴をESTAの「必須データ要素」として追加すると説明した。対象となる情報はSNSだけに留まらず、

• 過去5年分の電話番号
• 過去10年分のメールアドレス
• 家族の氏名・生年月日・居住地・出生地
• 顔画像・指紋・DNA・虹彩などの生体情報
など、極めて広範囲に及ぶ。

現在、ESTA申請には40ドルの手数料と基本的な連絡先情報が必要だが、今回の案が確定すれば、申請負担は大幅に増える見通し。CBPは今後60日間、国民から意見募集を行い、最終決定後、数週間から数か月をかけて段階的に導入するとしている。

▪️ビザ申請者が知っておくべきこと
観光ではなくDS-160 (非移民ビザ申請) を利用する日本在住者も、今後は過去5年分のSNSアカウントを正確に申告することが重要。既に削除済みのアカウントや利用停止中のサービスも原則開示対象となる。米大使館は、どのような投稿が審査上問題視されるかなど詳細は明らかにしていないが、オンライン上の発言がビザ判断に影響する可能性が高まることは確実とみられる。渡航予定者は、最新の要件を大使館公式サイトで確認し、申請準備を進める必要がある。

▪️大きく変わる国境管理の潮流
今回の措置は、テロ対策を名目とした米国の情報収集強化の一端であり、ビザ免除という利便性と引き換えに、渡航者のプライバシー負担が一段と重くなることを示している。SNSという個人情報の「最深部」まで審査対象となる以上、日米双方で議論が続くことになりそうだ。