October 17, 2025

ラニーニャ現象発生 NOAA公式発表 カリフォルニアの秋冬への影響は?

10/15/2025

米国海洋大気庁 (NOAA) は10月、ラニーニャ現象が太平洋沿岸で正式に発生し、来年2月ごろまで続く見通しであると発表した。過去10年の記録的旱魃 (かんばつ) から南カリフォルニアの吹雪まで、極端な気象を引き起こしてきたこの気候現象が今季も再び注目されている。

▪️ラニーニャとは
ラニーニャ (La Niña) はスペイン語で「小さな女の子」を意味する。太平洋東部の海面水温が平年より低下し、海中の冷たい栄養豊富な海水が湧き上がることで、北米の気候に大きな影響を与える。一般に米国南部では乾燥と高温、北西部では多雨と洪水をもたらす「寒冷型気象現象」である。

▪️発生状況と予測
NOAAによると、今年9月の海面水温が平年を下回り、6年のうち5回目のラニーニャ発生が確認された。気象庁の長期予報センターは「今年12月から翌年2月にかけてラニーニャが持続する可能性が高く、その後、1〜3月にかけて中立状態 (ENSOニュートラル) へ移行する確率は55%」と発表した。
ただし、今回のラニーニャは弱い傾向にとどまる可能性があり、影響は限定的とみられる。全体の約50%の確率で「弱いラニーニャ」に分類される見込みだという。

▪️北部カリフォルニア降水量減少の可能性
例年、ラニーニャの年は北カリフォルニアで雨が多くなる傾向にあるが、今年は異なる可能性がある。NOAAの予測地図によると、12月から2月にかけてサンフランシスコ湾岸地域の降水量が平年より33〜40%少なくなる見込みだ。気温については、現時点で「平年より高いか低いかの判断が難しい」と専門家は述べている。

▪️南部カリフォルニア高温少雨と乾燥リスク
南カリフォルニアでは冬が平年より暑く乾燥し、旱魃や山火事リスクが高まると予想される。世界の天気予報を提供するアキュウェザー社 (AccuWeather) によると、1月には一時的に雨が降る見込みだが、ラニーニャによる乾燥傾向を打ち消すほどの降雨量にはならない見通し。2月には雨雲が北上し、南部は再び温暖で乾いた天候に戻るという。
アキュウェザー社の長期予報専門家は「もし大気パターンが強く変動すれば、記録的な高温になる可能性もある」と警告している。特に、」カリフォルニア州からロッキー山脈一帯にかけては、2026年にかけて旱魃が悪化する懸念がある。

▪️海洋の影響と複雑化する予報
今回の予報では、北太平洋全域に広がる「海洋熱波 (マリンヒートウェーブ=Marine heat wave)」も懸念されている。これは海水温の異常上昇現象で、ラニーニャの冷水域と複雑に影響し合い、地域的に異なる気象をもたらす可能性がある。アキュウェザー社は、西海岸沖の海水温は今年の冬の予測に極めて重要な要素だと強調している。


ラニーニャは2026年初頭まで続く見込みだが、今年の影響は弱めとされる。それでも南カリフォルニアの乾燥、北部の降雨不足、そして気温変動など、地域差のある気候変化が予想される。過去のラニーニャ同様、今年もその「気まぐれな小さな女の子」が、カリフォルニアの冬を左右しそうだ。