2024年2月23日
ニューヨーク連邦地検は2月21日、ミャンマーの反政府組織との仲介役としてウランや兵器級のプルトニウムを含む核物質の密輸を企てたとして、大陪審が日本人の男を起訴したと発表した。
捜査の過程で男らが提示したサンプルから実際にプルトニウムなどが検出されたという。
地検は「ヤクザによる国際犯罪組織」の犯行だとしているが、具体的な組織には触れておらず実態は不明。
起訴状などによると、男は宇都宮市出身の海老沢剛 (えびさわ・たけし)。
2020~22年、武器と麻薬の密売業者を装う米麻薬取締局 (DEA) の囮 (おとり) 捜査官にミャンマーの反政府組織との取引を持ちかけた。
ウランや兵器級のプルトニウムをイランに密輸し、見返りに武器を入手しようとしたとされる。
当初はウランを薦めたが、捜査官が協力者をイラン軍高官と偽って紹介すると、より「強力」だとしてプルトニウムを提案。
2021年5月には反政府組織リーダーが要求する地対空ミサイルなどの武器リストを捜査官に提示し、組織が核物質を提供する見返りに武器を受け取りたいとの意向を伝えたという。
捜査官が2022年2月にタイ・プーケットのホテルで、海老沢被告と組織の仲介者らと会った際に「ウラン精鉱 (イエローケーキ)」などとして受け取ったサンプルを検査した結果、実際にウランやプルトニウムが検出された。
被告は数年間にわたりDEAの捜査対象となっており、捜査官がミャンマーの反政府組織に武器を融通する引き換えにヘロインなどを提供しようとしたとして、2022年4月にニューヨークで逮捕、起訴されていた。
米司法省の幹部は発表文で「核物質を密輸する試みが成功していたら、どんな結果になっていたのかと想像するとぞっとする」とコメントした。
(2024年3月16日号掲載)