2023年12月16日
大リーグ、ドジャースに移籍した大谷翔平選手 (29) が12月14日、ロサンゼルスの本拠地ドジャースタジアムで入団記者会見に臨み「ここでプレーしたいという自分の気持ちに素直に従った。勝つことが僕にとって一番大事なこと。常に挑戦したい」と新天地に懸ける思いを語った。
9月に手術を受けた右肘は順調に回復し「開幕には十分間に合う」と、打者に専念するメジャー7年目の来季に照準を合わせた。
激しい争奪戦の末、世界のスポーツ史上最高額となる10年総額7億ドル (約1,015億円=為替レートは入団合意時) の大型契約を締結。
野茂英雄氏から始まる球団の日本勢で10人目の選手となり、背番号「17」の入った白地に青のユニホームに初めて袖を通した。
取材対応は8月9日以来、4か月ぶり。
大谷選手は契約合意の発表前日の12月8日夜に決断したことを明かし「優勝することを目指しながら、欠かせない存在になりたい。
期待に応えられるよう全力で頑張りたい」と意気込んだ。
米メディアによると、球団の年俸総額を抑制し補強資金に充てられるようにするため、契約額の約97%が2034~2043年の後払いとなる。
勝利を優先する姿勢を示し「自分が受け取る金額を我慢して、球団の予算に柔軟性を持たせられるのであれば、後払いでいい」と、異例の契約を申し出た理由を打ち明けた。
9月に受けた2度目の右肘靱帯手術については「術式が (2018年の) 前回とは違う」とし、リハビリは「おおむね予定通りにきている」と述べた。
既に素振りを再開していることも明かした。
メジャー挑戦から6年在籍したエンゼルスでは投打「二刀流」を確立。
新人王受賞に始まり、今季は日本勢初の本塁打王を獲得し、2年ぶり2度目のアメリカン・リーグ最優秀選手 (MVP) に輝いた。
ナショナル・リーグへの移籍で来季は2年連続本塁打王を目指す。
明暗分かれる巨額契約 ベッツは成功、故障の例も
大谷選手のドジャースとの10年契約額はスポーツ史上最大に達した。
大リーグでは過去にも多くの大型契約が誕生したが、故障や不振で金額に見合った活躍ができなかった例も少なくなく、明暗が分かれている。
成功例と言えそうなのがドジャースのムーキー・ベッツ内外野手 (31) だ。
2020年に12年3億6,500万ドルで契約を延長した後も好成績を残し、今季は39本塁打、107打点。
10年3億2,500万ドルでレンジャーズに移籍したコーリー・シーガー遊撃手 (29) も2年目の今季、主軸として球団のワールドシリーズ初制覇に貢献した。
両選手とも契約期間の序盤ながら、高給にふさわしいプレーぶりが続く。
エンゼルスで大谷選手のチームメートだったマイク・トラウト外野手 (32) は2019年に12年総額4億2,650万ドルで延長。
大谷選手に破られるまでメジャー最高額で、同年に3度目の最優秀選手 (MVP) を獲得した。
しかし、その後は怪我 (けが) に泣かされ、出場試合数を減らした。
7年2億4,500万ドルでエンゼルスに移ったアンソニー・レンドン内野手 (33) は、加入後4季の本塁打が全て1桁。
ナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手 (35) も2019年末に7年2億4,500万ドルで再契約後、僅 (わず) か8試合の登板に終わっている。
大谷選手の契約は大半が後払いとはいえ、ファン、関係者の期待は待ってくれない。
打者に専念する1年目から、高いレベルで結果を求められる。
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(2024年1月1日号掲載)