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nagano_face.jpg   永野 文久

米国公認会計士

昭和17 年生まれ。  昭和41 年東京大学卒。同年三和銀行入社。
昭和58 年米国公認会計士。

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2013年米国税務アップデート(個人課税偏)

 

今年も米国では個人タックス・リターンの季節となった。

2013年税法の変更点について気にする方も多いと感じる。今年はオバマケアの導入年もあり、特にヘルスケア (医療保険) に関連する税改正へ関心が集中している。

同時に、選挙の度に国を二分させる Same Sex Couple (同性夫婦) をテーマとする税法改正も注目されている。

マスコミは大きく取り上げるが、これはあくまでも税法改正である。

今年もこうした数々の税法のアップデートが行われている。

今号では、連邦およびカリフォルニア州における個人所得税の変更点等についてまとめてみた。  

 

連邦税改正

1. Health care insurance 関連

a. 国民皆保険となるオバマケアにおいては、無保険者に対してはペナルティがかかることとなっている。

2014年から “minimum essential health care” に未加入の場合、2014年の個人タックスリターンからペナルティーを科せられる。

(2014年3月31日までに加入すればペナルティーは科せられない)。

ただし、以下の例外に該当する場合は、ペナルティは科せられないことになっている。

ペナルティ対象の例外:

・ 医療保険の個人負担分が家族の総収入の8%を超える場合

・ US Department of Health and Human Services (米国保健福祉省) から exempt (免除) と認められた場合

・ 転職や失業など理由により3か月未満の間、保険未加入の場合

・ 非居住者

・ 宗教的な理由による場合  

 

なお、日系企業の米国駐在者の多くは、日本の海外駐在員保険に加入している。

こうした海外駐在員保険がアメリカ保険として認可されるのか、また、ペナルティ対象外になるかどうかは、まだ不明である(*本誌2014年2月1日号参照)。

 

b. Adult children(26歳以下の扶養家族)に対する保険の特例 — 26歳以下の子どもは親の保険の扶養家族対象になり得る。同時に、その Adult Children はペナルティを免れる。

その Adult Children は、既婚者であってもカバーされる。

 

c. HSA (Health Savings Account)、 MSA (Medical Savings Account)、 FSA (Flexible Spending Arrangements) distributions取り崩しペナルティー増額 — HSA、MSA、FSAは医療費に対して使う予定の投資資産である。医療費以外の目的で、これらの投資資産を取り崩した場合にはペナルティが科される。そのペナルティが従来の10%から20%へと増額される。

 

d. FSA (Flexible Spending Arrangements)への拠出は最大$2,500までとする。

 

e. 高額所得者へのメディケア税 (Medicare Tax) の増額。Single $200,000, married filing joint $250,000以上の賃金 (W-2収入)や自営業所得(Schedule C, E, F)に対する個人負担のメディケア税は、従来の1.45%から2.35%へ増額 。Form 8959にて計算される。

 

f. Net investment income tax (interest, dividend, royalties, and rental incomeなどの受動的所得) の導入。修正調整後総所得がsingle $200,000, married filing joint $250,000以上の高額所得者にかかる利息収入、配当収入、ロイヤルティー収入や賃貸収入に対し3.8%の税金が課せられる。新しいForm 8960にて計算される。また、これらは estates and trusts にも当てはまる。非居住者にはこの税金は課せられない。

 

g. Schedule A (Itemized Deduction)のmedical expenses deductionは AGI の7.5%から10%へハードルが引き上げられる。(65歳以上の場合は2016年まで7.5%を使用できる)

 

h. 2014年から Premium assistance credit (医療保険援助制度) の導入 — Exchangeを通して医療保険を購入し、個人または家族所得が連邦貧困レベルの100%から400%のレベルにある場合 (つまり貧困と言われる所得レベル) は、Health care premium (医療保険支払) に対する一部返金 (政府援助) を Tax credit として連邦政府から受けることができる。

 

 

2. Same sex couples

連邦レベルでは、2013年個人タックスリターンから、Same sex couple (同姓夫婦) は married filing joint or separate で提出することができる。

一方、州レベルでは、13州 (カリフォルニア州を含む) と Washington DC において married filing joint or separate で提出が可能。残りの州は separate としてのみ提出可能。

 

 

3. Home office deduction (自宅兼事務所)– optional safe harbor method Safe Harbor

Method は自宅兼事務所の経費を簡易的に計算できる方法。

2013年からは、自宅兼事務所の300 square feet (約8.4坪) までは、この Safe Harbor Method を使用できる。

つまり、square feetあたり$5を掛けて事務所経費を損金算入とする (ただし、Actual method 同様、Home office deductionによる最終損失を計上することはできず、net incomeまでの損金参入が許可される)。

Safe Harbor Method においては固定資産税や住宅ローンの利息は Schedule A でのみ申告され、自宅の減価償却費を申告することはできない。

また、Safe Harbor Method で申告する場合は actual method で計算された過去からの loss carryover を使用することはできない。

ただし、1年間この方法で計算し、次年度からは actual method への変更は可能である。

 

カリフォルニア州税改正

1. Like kind exchangeにおける報告義務の発生 (CA non resident)

Like kind exchange は、同種資産を交換して利益が発生した場合、その利益に対する課税を繰り延べることのできる連邦税優遇制度である。

カリフォルニア州 (CA州) では、州居住者から非居住者と転出することにより、実際に利益が生じたときにCA州の未実現利益を非居住者として報告することを怠っていたケースが多く見受けられてきた。

今回の改正は、こうしたケースへの対抗措置である。

すなわち、2013年より、CA州では deferred gain を毎年申告することが義務付けられ (現時点でまだFTBはFormを発行していない)、州外で Gain が実現される場合、CA州内で未実現の Gain についてはCA州非居住者としてその部分は課税される。

(例):2013年カリフォルニア州居住者が購入価格$500,000のアパートを価格$1,000,000で売却後、イリノイ州で$1,000,000の建物を購入し、カリフォルニア州非居住者になったとする。2013年、2014年においてはカリフォルニア州に対して deferred gain がある旨の報告をする必要がある。2015年にこの建物を$1,000,000で売却した場合、2013年に発生した$500,000の未実現利益はカリフォルニア州に対して申告、納税する必要がある。


※注意:このコラムは米国での税務に関する一般論的概説ですので、実際の案件については個別に専門家の意見を求められるようにお願いします。
 
(2014年3月1日号掲載)

 

 

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