2021年 05月 12日
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American Health アメリカ健康ノート

乾癬(かんせん) =下= (Psoriasis)(2021.2.1)

 

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dr kim new     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。
その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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乾癬(かんせん) =下=

(Psoriasis)

       
       

療には、外用薬、内服薬、光線療法 (紫外線療法)、注射、そして外科的療法があります。

治療の目的は、皮膚細胞の再生の速度を遅くして、炎症を抑えることですが、乾癬のタイプ、重症度などによって選択される治療法は変わってきます。



=外用薬=

  • 皮膚軟化剤
    皮膚軟化剤クリームや軟膏、ワセリンなどがあり、鱗屑 (りんせつ) を減らす効果があります。

  • ステロイド外用薬
    ステロイドは、顔などには弱めのステロイドを使い、治療困難な部分にはより強めのステロイドを使います。
    長期の使用により、皮膚が薄くなったり、ステロイドの効果が衰えたりします。

  • ビタミンD3誘導体 
    カルシポトリエンやカルシトリオール (Vectical) は皮膚の再生速度を遅めます。
    単独で使用するか、ステロイドと一緒に使います。
    ステロイドより値段は高めです。

  • レチノイド(ビタミンA誘導体)
    タザロテン (Tazorac、Avage) はジェルやクリームがあります。
    皮膚の刺激感や日光に過敏性があります。
    タザロテンは妊娠中や授乳中の女性は使えません。

  • カルシニューリン阻害薬
    タクロリムス (Protopic) とピメクロリムス (Elidel) は炎症とプラークの発生を抑えます。
    眼の周りなど、ステロイドやレチノイドで刺激が起こりやすい部分に使えます。妊娠中や授乳中は使えません。長期使用は控えます。

  • サリチル酸
    鱗屑の軟化や除去に使います。
    サリチル酸シャンプーと頭皮に塗る液薬は頭皮の乾癬に効果があります。

  • コールタール製剤
    コールタールは抗炎症作用や角化増殖を減少させる効果がありますが、詳しい機序は不明です。
    鱗屑やかゆみを抑えます。
    シャンプー、クリーム、オイルなどがあります。
    においがあり、衣服やシーツなどを汚すので使い勝手が悪いです。
    妊娠中や授乳中の女性には使えません。

  • ゲッケルマン療法
    コールタール製剤を塗って日光浴や紫外線の照射をする治療法で、現在ではほとんど行われていません。

  • アンスラリン
    皮膚の再生速度を抑え、抗炎症作用もあります。
    鱗屑を除き、皮膚をなめらかにします。顔や陰部には使えません。




=光線療法 (紫外線療法) =


光線療法は中等症から重症の乾癬の第一選択治療です。

それ単独や薬剤との併用で行います。

日光または人工的な紫外線に当てることで治療をします。



  • 日光

    毎日、短時間、日光に当てると乾癬が改善することがあります。日光に当てて治療する場合は、安全な方法で行うようにしましょう。



  • 紫外線

    広い範囲のブロードバンド紫外線B波による治療は、外用薬で改善しない乾癬が対象になります。発赤 (ほっせき)、かゆみ、乾燥肌が起こることがあります。

    狭い範囲の特定波長を使うナローバンド紫外線B波による治療法は、ブロードバンド紫外線B波の治療法よりも効果が期待できます。週に2〜3回治療を行います。副作用で火傷 (やけど) が起こることがあります。現在ではよく選択される光線療法です。

    ソラレン+紫外線A波併用療法 (PUVA療法) は、紫外線の感受性を高める薬物であるソラレンを紫外線療法の前に取ることで効果がでます。紫外線A波は紫外線B波よりも皮膚の貫通性が高く、より皮膚の奥深くまで到達します。重症の乾癬の治療に使われます。短期間の副作用としては、嘔気 (おうき)、頭痛、局所の熱感、かゆみなどがあります。長期間の副作用としては、乾燥肌、肌のしわ、皮膚のしみ、日光の感受性増加、皮膚がんのリスクなどがあります。

    エキシマレーザー療法は、強い紫外線B波を使って乾癬の部分のみを照射します。発赤、水ぶくれなどが副作用です。






=内服および注射薬=


中等症から重症の乾癬の治療で他の治療が効果のない時は、免疫抑制薬など内服薬および注射薬が使われます。

副作用のために短期間の治療になります。

  • ステロイド剤の内服薬は、滴状乾癬を生じる可能性があるので要注意です。
    ステロイド注射は、直接乾癬に注射します。

  • 経口レチノイド (ビタミンA誘導体) ―― 皮膚細胞の生成を抑えます。
    アシトレチン (Soriatane) や他のレチノイドが使われます。
    乾燥肌、筋肉痛などが副作用です。
    胎児の先天性異常を起こす可能性があるので、妊娠中、妊娠を考えている人は禁忌です。
    使用後2年間は妊娠を待つ必要があります。

  • ミコフェノール酸は副作用で胃腸障害や骨髄抑制があります。

  • メトトレキサート (Trexall) は皮膚細胞の生成と炎症を抑えます。週1回内服します。
    アダリムマブ (Humira) やインフリミクシマブ (Remicade) より効果は劣ります。
    胃不快感、食欲不振、疲れなどの副作用があります。
    時々血液検査をして、血球や肝機能のモニターをします。
    妊娠を考える女性は少なくとも3か月中止して妊活をします。

  • シクロスポリン (Neoral) は免疫を抑える薬 (免疫抑制剤) で重症の乾癬に対する内服薬です。
    メトトレキセートと同様の効果がありますが、1年以上継続して使えません。感染、がんなどの副作用があります。
    血圧と腎機能のモニターが必要です。
    妊娠、授乳中の女性には使えません。

  • 生物製剤 (免疫調整薬)
    免疫系に関与する特定の化学物質を阻害する注射による治療です。
    近年、非常に注目、期待されている治療法です。
    中等症から重症の乾癬が対象です。
    エタネルセプト (Enbrel)、インフリキシマブ (Remicade)、アダリムマブ (Humira)、ウステキヌマブ (Stelara)、セクキヌマブ (Cosentyx)、イキセキズマブ (Taltz) などがあります。
    これらの薬は高価で、健康保険でカバーされない可能性もあります。
    免疫が抑制されるので感染を受けやすくなります。

  • 他の薬物としては、チオグアニン Thioguanine (Tabloid)、ヒドロキシウリア Hydroxyurea (Droxia、Hydrea) が他の薬物治療が使えない時に適用になります。
    アプレミラスト (Otezla) は内服薬です。




=外科療法=


扁桃腺を切除することによって改善がみられたという報告がありますが、その反対の報告もあります。





治療にあたって


治療は、軽い治療法から選択され、効果がなければ、次第に強力な治療法に移行します。

例えば外用薬から、外用薬と光線療法の併用療法、それから内服、注射療法という具合に。

膿疱 (のうほう) 性乾癬、乾癬性紅皮 (こうひ) 症、あるいは乾癬性関節炎のある場合は、最初から内服薬や注射などの全身治療から始めます。




代替医療


いろいろな代替医療の治療法がありますが、効果は様々です。

アロエ抽出液クリームは赤み、鱗屑、かゆみ、炎症などに使われます。

フィッシュオイルは外用薬として使用したり、フィッシュオイルを摂取して光線療法を受ける治療法もあります。

他にも、オレゴングレープ、エッセンシャルオイルなどがあります。




乾癬に対する食事


フィッシュオイル、冷水魚 (特にワイルドフィッシュが良い)、サーモン、ニシン、サバ、エキストラバージンオリーブオイル、豆類、野菜、くだもの、全流粉などを中心に食べましょう。

避けた方がいいものとしては、アルコール、赤肉、乳製品があります。

 
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(2021年2月1日号掲載)