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dr kim new     金 一東

日本クリニック・サンディエゴ院長

日本クリニック医師。
神戸出身。岡山大学医学部卒業。同大学院を経て、横須賀米海軍病院、宇治徳洲会等を通じ日米プライマリケアを経験。
その後渡米し、コロンビア大学公衆衛生大学院を経て、エール大学関連病院で、内科・小児科合併研修を終了。スクリップス・クリニックに勤務の後、現職に。内科・小児科両専門医。


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メディケア

Medicare 

       
       

 

メディケアは、アメリカでは数少ない連邦政府が提供する公的医療保険制度の一つで、メディケイドと共に1965年に創設されました。

メディケイドは主に低所得者と障害者を対象にしているのに対し、メディケアは主に65歳以上の高齢者を対象にしています。

メディケアの受給資格のある人は65歳以上のアメリカ人、または5年以上アメリカに居住している65歳以上の永住権を持った外国人。

10年以上メディケア税を納めている必要がありますが、納めていない場合でも、毎月の保険料を支払えばメディケア加入の道は開けています。

65歳以下で、ALSや末期の腎臓病などの健康障害があり、SSDIという社会保障障害年金を受けている人もメディケアの受給対象になります。

 

 

 

メディケアの加入

 

メディケアへの加入は65歳の誕生日の3か月前から3か月を過ぎた計6か月間の間に加入を申請します。

メディケアは基本的に強制保険制度なので、受給資格があるにもかかわらず、その期間に加入を申請しないと、必要以上の保険料や遅滞料を支払わなければならなくなるので要注意です。

 

 

メディケアの内容

 

メディケアには4つのパートがあります。

パートAは入院保険、パートBはパートAで支払われない外来や血液検査などの診断治療をカバー、パートDは処方箋 (せん) 薬をカバーします。

パートCはメディケア・アドバンテ―ジプランのことで、民間健康保険会社がメディケアとの契約に基づいて提供し、パートAとパートB相当分とそれ以外をカバーします。

 

= パートA(病院またはホスピス保険)=

パートAは入院中の室料、食事、検査などをカバーします。入院費は最大90日間カバーされますが、最初の60日間は1年間の免責額1,288ドルを支払った後はメディケアで全額カバーされ、60日を超すと90日まで1日当たり322ドルの自己負担が生じます。

90日を超しても一生涯当たりあと60日間カバーされますが、1日当たりの自己負担額は644ドルに上がります。入院総日数がのべ150日間を超すと、入院費の全額が自己負担になります。

パートAはまた、高度看護施設でのリハビリや病気の回復期の短期入院もカバーしますが、いろいろ条件があります。最大入院期間は100日間です。最初の20日は全額メディケアから支払われますが、残り80日間は1日当たり161ドルの自己負担が生じます。パートAはホスピスケアもカバーします。

パートAは、10年以上メディケア税を納めた人は保険料を支払う必要はありませんが、そうでなければ毎月保険料を支払うことになります。

 

 

= パート B(入院以外の医療費)= 

 パートBはパートAでカバーされない医療費をカバーします。特に外来でのカバーです。パートBは166ドルの年間免責額を超えると、8割がメディケアから支払われます。後の2割は加入者個人または、加入者の入っている他の保険(メディギャップ)から支払われます。

パートBは加入者や加入者の配偶者が働いていて雇用による保険がある場合、トライケアや退役軍人などの保険のある人は加入しなくてもかまわないですが、そうでない場合は加入しなければ処罰の対象になります。

パートBがカバーするものは、医療上必要なもの、例えば医師の診察料、看護の費用、カイロプラクターの治療費、レントゲン、血液検査、他の診断検査など。他に、輸血、人工透析、病院の外来での処置、救急車、化学療法、ホルモン治療、クリニックで行われる他の治療, 杖 (つえ)、ウォーカー、車いす、電動車いす、白内障後のメガネ、家庭用の酸素などをカバーします。

予防接種やスクリーニングのカバーとしては、インフルエンザや肺炎球菌の予防接種、骨密度、子宮頸がん、乳房X線などのスクリーニング検査があります。

パートBの受給者は毎月の保険料を納める必要があります。例えば2016年度は、毎月121 ドルから389ドル程度ですが、1年当たりの収入が85,000ドル以下の個人は121.80 ドル、214,000ドル以上ある個人は389.80ドルといった具合です。

 

 

= パートC(メディケア・アドバンテージプラン)=

メディケア・アドバンテージプランはメディケアの許可を得た民間健康保険会社が提供するもので、これに加入すると、メディケアのパートAとパートBのカバーするものは、メディケアからでなく、このプランからカバーされます。ホスピスを除いて、メディケアがカバーするものはすべてカバーし、その上、視力ケア、補聴器、歯科診療などもカバーします。

また、ほとんどのプランはメディケア・パートDの処方箋薬のカバーもあります。プランBの保険料と、このアドバンテージプランの保険料を毎月収めることになります。

メディケア・アドバンテージプランには、通常の民間健康保険と同じように、HMO やPPOなどの区別があります。HMO プランに入っていると、決まったプライマリケア医を通じて専門医に紹介されますが、PPOプランに入るとネットワーク以外の医師の受診が可能になります。メディケア・アドバンテージプランに加入していると、別にプランA、プランBに加入する必要はありません。 なお、メディケア・アドバンテージプランに加入している場合は、同時にメディギャップには加入することはできません。

 

 

= パートD =

 

2006年から始まったパートDでは、パートA・パートBの加入者はパートDに加入できる資格があります。処方箋薬のカバーを得るには、処方箋薬プラン (Prescription Drug Plan = PDP) であるパートDに加入するか、処方箋薬カバーのあるメディケア・アドバンテージプランに加入するかのどちらかです。これらのプランですべての薬がカバーされるわけではなく、カバーされる薬は決められています。メディケアとメディケイド (収入の低い人のための保険) の両方に加入資格のある人には、メディケイドがメディケアDでカバーされない薬をカバーすることがあります。

 

 

= メディケア補充保険(メディギャップ)=

 

メディケア補充保険 (Medicare Supplement Insurance = Medigap) は民間の健康保険会社が提供しています。これはメディケア本来のパートAとパートBで支払われない自己負担金や免責額などをカバーしてくれます。また、外国旅行中の医療費も対象になります。メディケアを持っていてメディギャップに加入すると、医療費はまずメディケアで支払われ、それから民間保険で残りを支払います。このプランに加入するにはまず、メディケアのパートAとパートBを持っている必要があります。

メディギャップは1人だけをカバーするので、配偶者のいる方は別々に加入する必要があります。民間健康保険会社は、毎月の掛け金を払っている限り加入継続を拒否できません。メディギャップは処方箋薬をカバーしないので、処方箋薬のカバーが必要な場合はプランDに加入する必要があります。

2016年現在では、Plan A、Plan B、Plan C、Plan D、Plan F、High Deductible Plan F、Plan G、Plan K。Plan L、Plan M、Plan N の11種類のプランがあります。メディギャップでは、メディケア・アドバンテージプランと違って、ネットワークというのがないので、メディケアを受け入れる医療機関は自動的にメディギャップも受け入れます。

メディギャップがカバーしないのは、長期のケア、視力ケア、歯科治療、補聴器、めがね、民間の介護などです。

 

 
この記事に関するご質問は日本クリニック(858) 560-8910まで。過去の「アメリカ健康ノート」の記事は、私のウェブサイトwww.usjapanmed.com またはwww.dockim.com で読むことができます。
 
(2016年9月1日号掲載)