金 一東
日本クリニック・サンディエゴ院長 |
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新型コロナの最新の治療 (COVID-19 Treatments and Medications) |
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新型コロナは、今年の始めに猛威を振るったBA.1のオミクロン株に変わって、2022年6月下旬からは、アメリカでは、そのほとんどがBA.5のオミクロン株に変わってきています。
新たな治療薬 新型コロナのワクチンが重症化や入院を予防してくれることはよく証明されています。 健康な若い人は、新型コロナの治療薬なしでも、数日間の軽い症状を経て、何の問題もなく治っていく人がほとんどですが、高齢者など重症化リスクの高い人は、ワクチン接種をしていても治療薬の対象になります。
新型コロナ治療薬の対象になる人 高齢者 (特に65歳以上の人ですが、50歳以上が対象になります)、特定の病気や免疫が低下している状態がある、例えば、悪性腫瘍 (がん)、慢性腎疾患、慢性肝臓疾患、慢性肺疾患 (中程度以上の喘息、COPD、気管支拡張症、間質性肺炎、肺高血圧、肺塞栓症など)、認知症やアルツハイマー病、糖尿病、いろいろな身体的障害、虚血性心疾患、他の心臓病、HIV、免疫低下している状態、ステロイドや免疫抑制剤を取っている、などです。
新型コロナの予防薬 <Evusheld (tixagevimab +cilgavimab)> Evusheldという薬で、これは2種類の薬 tixagevimab と cilgavimab から成り立っています。 12歳以上で、新型コロナに感染してない、最近新型コロナ感染者との接触もないことが条件です。 tixagevimab と cilgavimab の2本の注射を別々に筋肉注射します。必要があれば半年毎に注射を繰り返します。 副作用としては、のどの違和感、めまい、息切れ、発熱、悪寒、嘔気 (おうき)、頭痛、疲れ、動悸、筋肉痛、発疹などです。
新型コロナの治療薬(入院外) 最近、入院は必要がない軽症と中等症の新型コロナ感染者で、重症化リスクの高い人に向けた薬が利用可能になっています。
=抗ウイルス薬= <Paxlovid (Nirmatrelvir + Ritonavir)> 新型コロナ感染症に対する第一選択薬です。 Paxlovid には2種類の薬が含まれています。 Paxlovid に含まれているNirmatrelvir はいろいろな薬と反応します。 飲み方は、ピンクの錠剤(Nirmatrelvir)2錠、白の錠剤(Ritonavir )1錠の計3錠を同時に服用し、1日2回飲みます。それを5日間続けます。 副作用としては、肝機能の悪化 (黄疸)、食欲低下、腹痛、味覚の変化、下痢、血圧の上昇、筋肉痛などです。
<Lagevrio (Molnupiravir)> Paxlovid を飲めない人が対象になります。 副作用は、下痢、嘔気、めまい、皮疹、じんま疹などです。
<Veklury (Remdesivir)> 12歳以上が対象です。症状が始まって7日以内に始めます。1日1回3日間点滴をします。 副作用は、頭痛、動悸、喘鳴 (ぜんめい)、嘔気、熱、悪寒、かゆみ、顔の腫れなどです。
=モノクローナル抗体= <Bebtelovimab> 12歳以上が対象です。症状が始まって7日以内に治療を開始します。 副作用としては、発熱、発疹、悪寒、頭痛、かゆみ、筋肉痛、めまい、発汗などです。 |
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(2022年8月1日号掲載) |