—— バレエを始めたきっかけ 私が6歳のとき、母が『赤い靴』に感動して私をバレエ学園に入れたことですね。日本バレエ界の第一人者・森下洋子さんは少女の憧れの的でした。公演には出来るだけ連れていってもらいましたし、TV放送は必ず録画して何十回も繰り返し観て…。でも、一度はバレエを辞めたいと思ったこともあるんですよ。練習で土日も休めないから、普通に友達とも遊べない。遊園地に行ったり出来る友達がうらやましかったんです。でも、「中途半端に続けるなら辞めなさい」と両親に言われると意地でも辞められなかった。中学くらいからは毎日練習。放課後、スタジオに直行して遅くまで練習するようになり、もうバレエの無い生活なんて考えられなくなりました。 ——バレエについて バレエは最高の総合芸術だと思います。舞踏手、振り付け、音楽、舞台、衣裳…全ての要素が溶け合って、その相乗効果が創り出す芸術ですね。私個人にとっては… 中毒 (笑) かな。生活の一部というより、中心に近いから。毎日のレッスンは辛く厳しいものですが、不可能だったことが出来るようになったときの喜びは格別です。そして、練習の集大成を表現する舞台に立つ興奮と、公演後に観客が拍手と歓声で迎えてくれたときの感動。全ての努力が 報われる瞬間ですね。 —— 講師としての西野さん 身体全体の調和を大切にするロシア式ワガノワ・メソッドを取り入れています。私のモットーはひとつひとつ練習の意味を説明しながら丁寧に教えること。そして、よく生徒に言い聞かせるのは「バレエは毎日練習しなければ上達しない。スタジオの外でも舞台人であることを忘れないように」ということ。バレエでは普段の生活で眠っている筋肉を 使うし、その姿勢、立ち方を徹底的に身体に叩き込み、筋肉に覚えさせなければなりません。本当にバレエダンサーを目指すのなら、常にバレエの姿勢を保ち、歩き方にも気を配る気構えが必要なのです。 —— 今後の展望 舞台への愛着はありますが、自分の稽古、講師、主婦業をこなすのが難しくなり、全てが中途半端になってしまわないように最近は指導に専念しています。また、この8月にはジャパングランプリ (写真) で世界バレエ界の最高峰に君臨する先生方が教授するクラスの助手を務めるという貴重な体験をしてきたばかり̶。講師としての視野も知識も格段に広がり、教える喜びも日増しに感じるようになりました。これからは私が団長を務める NDA ジュニアバレエ団の設立・運営、11月に来米するモスクワ・バレエ団の『胡桃割り人形』の子役指導と、週末返上を覚悟のてんてこ舞いの日が続きます。ホントに家族の理解、協力なしには出来ないと心から感謝しています。 ——読者の皆さんにひと言 バレエは肉体だけでなく精神も鍛えることが出来る素晴らしいダンスです。厳しい練習に耐え、人間としての内面を磨く教育が一貫して行われます。このような訓練はバレエだけでなく、人生のどこかで役に立つはずです。受験などを理由にバレエを中断した方々も「やっていてよかった」とおっしゃいます。最近は幼い頃からの夢を叶えようと、50代、60代でレッスンを始められる方も多いんですよ。ダンスは何歳からでも始められます。全身を動かすことで血行を良くし、肩凝り解消にもなりますし、有酸素運動によるダイエット効果も注目されていますね。親子でバレエというのも素敵ですよ。お気軽に見学にいらして下さい。お待ちしています! (2004年9月16日号に掲載) |