2024年4月29日
大リーグで近年珍しくなったナックル投手、パドレスのマット・ウォルドロン投手 (27) が4月24日の敵地ロッキーズ戦で今季初勝利を挙げた。
空気抵抗が少なく、変化球の動きも小さくなるとされる高地デンバーの不利な条件下で6回/4安打/1失点と好投。
チーム公式サイトに「ストライクを先行できたのが大きかった」と勝因を語った。
ナックルボールは投げる際にほとんど回転を加えない。
指の腹でボールを押さえるようにして投げるため、ボールは空中で不規則に動く。
回転が少ないため、空気の微妙な流れや条件によってボールの軌道が大きく変わり、打者にとって非常に打ちにくい球となる。
通算318勝で米国野球殿堂入りしたフィル・ニークロ投手 (1939-2020) を筆頭に、かつてナックルボーラーは両リーグに数人ずつ存在した。
予測のつかない動きをする〝魔球〟の使い手が減った理由には、投手に求められる資質が耐久性より球速など瞬発的なパワーになったことや、捕手への負担が考えられている。
ウォルドロン投手もナックル一辺倒でなく、140キロ台後半の直球とカットボール、スライダーを織り交ぜて配球を組み立てる。
4月24日の試合では、ナックルならではの場面もあった。
捕手が球の変化についていけず後逸し、そのまま主審の腹部を直撃。
判定はストライクだった。
カイル・ヒガシオカ捕手は「えげつない球」と嘆くしかなかった。
2021年のキャンプ期間に、遊びで投げたことで使い始めたウォルドロン投手は「まさかこの球が僕の武器になるなんて」と驚きを隠さない。
ダルビッシュ有投手が故障離脱中のパドレス先発陣の一角で奮闘している。
(2024年5月16日号掲載)