December 13, 2025

EV 優遇期間に幕 カープール違反に $490 罰金 25年続いたステッカー制度終了

12/6/2025

カリフォルニア・ハイウェイパトロール (CHP) は12月初めから、同乗者なしでカープールレーン (ダイヤマーク車線) を走る電気自動車に対して、本格的に違反切符の発行を始めた。これまではイエローステッカー付きのクリーンエア車であれば1人乗車でも走行が認められていたが、10月1日以降は占有人数の条件を守らなければならず、警告期間が終わった今、1人で走れば約490ドルの罰金の対象となる。

▪️「CAVデカールプログラムに幕
2000年から続いてきた「クリーンエア・ビークル・デカール・プログラム (CAV Decal Program)」は、排ガスの少ない車に対し、同乗者がいなくてもHOVレーン (High-Occupancy Vehicle Lane=カープールレーン) や一部有料道路の通行優遇を認める制度だった。連邦政府が1999年に各州へ制度導入を認めたことを受け、カリフォルニア州が最初に実行に移した。
この人気制度は、オバマ大統領時代の2015年に2025年9月30日まで延長されたが、その満了を目前にした2025年10月、連邦議会の共和党主導の投票で延長が否決され、今年9月30日をもってEVの「1人でカープールOK」連邦プログラム自体が終了した。橋やエクスプレスレーンでのEV向け割引も同日で打ち切られている。

▪️州法は延長を目指すも連邦の壁に
カリフォルニア州議会は、2党の賛成を得てCAVデカール制度を2027年まで延長する州法を可決し、ギャビン・ニューサム知事も署名した。しかし、この制度は連邦法に基づく権限の上に成り立っていたため、ワシントン D.C.での承認が得られない限り継続は不可能だった。結果として、州が延長の準備を整えていたにもかかわらず、2025年9月30日で一斉に失効する形となった。
連邦レベルでは、カリフォルニア州の環境規制を後退させる動きが相次いでいる。6月には、トランプ大統領が2035年までにガソリン車の新車販売を禁止するという州の方針を阻止する決議に署名し、同じ「税制改正草案 (One Big Beautiful Bill)」によって、9月30日付でゼロエミッション車に対する7,500ドルの連邦税控除も打ち切った。州側はこれに対抗し、複数の訴訟と、ゼロエミッション車の普及策を検討するよう州機関に指示する知事令で応戦している。

▪️CA州ドライバーへの影響
カリフォルニア州では2025年までに325,768台のゼロエミッション車が販売され、新車販売の約4分の1を占めるまでになった。こうした車のオーナーは、車体に貼った黄色のクリーンエアデカールをはがす必要はないが、HOVレーン優遇や通行料金の割引といった特典はすべて失われる。
ソロ走行のEVが一般車線へ押し出されることで、通常レーンの渋滞悪化が予想される一方、HOVレーン本来の目的である「複数人乗車による効率的な移動」が改めて問われることになる。カープールレーンを引き続き利用したいドライバーには、家族や同僚との相乗りを本格的に検討することや、ベイエリアの MTC (メトロポリタン交通委員会) が運営する「511 Driving TimesSM Service)」などのカープール・バンプールのマッチングプログラムへの参加が推奨されている。