2024年8月6日
大統領選でバイデン大統領が再選を断念してから3週間余り。
新たに民主党候補になることが確実なハリス副大統領は、この間に2億ドル (300億円) 以上の献金を集め、好感度も上がって活気づいている。
11月5日の本選が3か月未満に迫る中、民主党の態勢を立て直して巻き返しを図る。
勢いを維持して優位に選挙戦を展開する流れを作り出せるかどうかが課題。
一方、暗殺未遂事件を乗り越えた共和党候補のトランプ前大統領は、バイデン氏からハリス氏に照準を定め直し、戦略の練り直しを
進めている。
ハリス氏の選対幹部は7月28日、X (旧ツイッター) で「1週間で2億ドルを集めた。
66%は新規の寄付者によるものだ」とし「新たに17万人のボランティアが登録した」とも明らかにした。
AP通信はハリス氏の集金力には「目を見張るものがある」と報じた。
ABC-TVが発表した7月最終末実施の世論調査の結果によると、ハリス氏の好感度は43%で1週間前の調査から8ポイント上昇。
36%のトランプ氏を上回った。
選挙戦でトランプ氏は「新しく倒すべき相手が現れた。
嘘つきカマラ・ハリスだ」とし、豪快な笑い声で知られるハリス氏を「笑うカマラを見たか? 狂っている」と揶揄 (やゆ)。
元検事のハリス氏は「私は性的虐待者や詐欺師を相手にしてきた」と語り、不倫口止めに絡む事件で大統領経験者として初めて有罪評決を受けたトランプ氏を指弾。
両候補の批判合戦も熱を帯びている。
政治サイトのリアル・クリア・ポリティクス (RealClearPolitics=RCP) によると、7月28日時点の全米での支持率平均はトランプ氏47.9%、ハリス氏46.2%。
FOXニュースによる最近の世論調査の結果では、勝敗を左右する中西部ミシガン州や東部ペンシルベニア州では同率で並んでいる。
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ハリス氏は8月6日、大統領選の副大統領候補に選んだミネソタ州のティム・ワルツ知事 (60) と共にペンシルベニア州フィラデルフィアで集会を開き、激戦州の遊説を開始した。
民主党は両氏を正副大統領候補に正式指名したと発表。
ハリス氏はワルツ氏を国民に紹介し、トランプ氏打倒へ気勢を上げた。
バイデン大統領に代わって出馬したハリス氏は、世論調査でトランプ氏を追い上げている。
中西部のウィスコンシンやミシガンを含む激戦州で支持候補を決めかねている有権者を取り込むため、ミネソタで人気があるワルツ氏を起用した。
ハリス氏は集会で演説し、ワルツ氏について「米国を結束させる指導者だ」とし「中流階級のための闘士」を探していたと説明した。
米メディアは、州知事として中間層に手厚い政策を進めた実績や、ハリス氏との相性の良さが選ばれた理由だと報じた。
トランプ陣営は「米史上最も過激な左翼の正副大統領候補」とハリス、ワルツ両氏を批判。
両氏はペンシルベニアに続いて8月9日までにウィスコンシン、ミシガンのほか、西部のアリゾナ、ネバダの各激戦州で遊説する。
南部のジョージアやノースカロライナも予定していたが、熱帯暴風雨の被害が出ているため延期した。
民主党は8月19~22日にシカゴで党大会を開き、ハリス氏とワルツ氏の下で挙党態勢を演出する。
(2024年8月16日号掲載)