Monday, 16 September 2024

元検事と被告人の対決へ、大統領選の高齢問題解消 ハリス氏:舌鋒の鋭さ武器に、トランプ氏:副大統領の実績批判

2024年7月24日

11月の大統領選は、民主党のハリス副大統領 (59) と共和党のトランプ前大統領 (78) が対決する構図が固まった。

元検事のハリス氏は被告人を追及してきた舌鋒 (ぜっぽう) の鋭さが武器。

議会襲撃事件など4つの事件起訴されたトランプ氏を「重罪人」と見立てる作戦で攻勢をかける。

ハリス氏は労働組合からの支持も相次いで取り付けている。

全米最大の労組連合で組合員1,250万人を抱える米労働総同盟産別会議 (AFLCIO) のほか、全米鉄鋼労働組合 (USW) や米教師連盟 (ATF)、全米食品商業労働組合 (UFCW) も支持を表明した。

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7月23日、ハリス氏が候補指名を確実にしてから初の遊説場所となったのは、共和党が党大会を開いたウィスコンシン州ミルウォーキーの近郊。

「トランプ氏のような人間を私は知っている」。

演説で不敵な笑みを浮かべると、会場に「あいつを収監しろ!」との大合唱が響いた。


ハリス氏は副大統領や上院議員になる前に、サンフランシスコ地方検事を務めた経験を振り返った。

「あらゆる犯人とやり合った。女性を虐待した人、消費者を食い物にし、自分の利益のためにルールを破る詐欺師…」

不倫口止めに絡む事件で有罪評決を受けるなど、多くの疑惑を抱えるトランプ氏を念頭に置いた発言なのは明らかだった。

「私の経歴があれば、いつでも彼とやり合える」と宣戦布告した。

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ハリス氏は副大統領としてバイデン大統領 (81) の陰に隠れることが多かったが、元々は鋭い批判や弁舌の巧みさが持ち味だった。

全米では知名度が低かった上院議員時代に一躍脚光を浴びたのが、2020年前回大統領選の民主党候補選びの討論会で人種差別問題をめぐりバイデン氏を追及した時だった。


米国では1954年、最高裁が公立学校での人種分離教育を違憲だと判断した。

しかし、その後も多くの地域で黒人と白人が別々の学校に通学。

改善するため1970年代に黒人居住地区の子供を白人が多い学校にバスで送り込む政策が取られたが、ハリス氏はバイデン氏がこの政策に反対したと指摘し、バイデン氏は防戦一方に追い込まれた。


唯一の黒人候補だったハリス氏が「当時、カリフォルニアで毎日バス通学する少女がいた。

それが私だ」と訴える姿は、テレビで繰り返し報じられ、時の人となった。

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民主党はバイデン氏撤退で頭痛の種だった候補の高齢問題が消えた。

だが、ハリス氏は副大統領として目ぼしい実績に欠けると言われる。

トランプ陣営は、ハリス氏が担当した不法移民対策で失敗し移民の「侵略」を招いたと批判を強める。


「嘘つきハリスが全てを滅茶苦茶にしている!」

トランプ氏は7月23日、自身のソーシャルメディアで、バイデン氏に大統領としての職務遂行能力がないことをハリス氏が隠していたと訴えた。

今後、討論会などで非難の応酬になるのは必至だ。



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(2024年8月16日号掲載)