所変われば… 日本の米軍基地内に住んでいた頃の話。約30人のアメリカ人の子供たちが地元の幼稚園に通っていて、ある日、アメリカ人のお母さんの提案で、日本人の先生方を招待してのポットラックパーティーを開くことになった。 そのお母さんは、日本の古道具類を集めていて、アンティークと称される物が部屋中に品良く納まっていた。その中で、一つだけ度肝を抜かされたのが入口近く にあった便器だ。白地に藍色の柄が入った昔のモノだが、日本人が見れば誰だってギョッとする。先生の1人がためらいがちに「あれは便器ですか」と口にする と、彼女は得意気に「そうです。でも、ディッシュウォッシャーで洗ってあるからキレイですよ」と答えた。 その瞬間、全員の目はテーブルの上の食器とシルバーに集中し、先生方の顔は皆、引きつっていた。 岩国マリコ |