Saturday, 07 September 2024

ニック・ブラント/何もない世界

 絶滅抑止への悲痛な叫びを聞け! 環境破壊の犠牲者は動物と農民

 

Nick Brandt: This Empty World
2022/5/8 (日) 〜 10/2 (日)
Museum of Photographic Arts
https://bit.ly/35EYqj3

 

ニック・ブラントの新しいモノグラフ『This Empty World』は、ドラマチックに演出された写真シリーズで、東アフリカの動物や人々が環境悪化の犠牲になっていることを、感情を込めて映画のように映し出したもの。

初めてカラー写真に取り組んだこの作品は、技術的にも力作であると同時に、大規模な映画制作で見られるような大規模なセットが構築された野心的なプロジェクトでもある。

各パノラマ画像は2つの瞬間の組み合わせで、そのほとんどが全く同じカメラ位置から数週間後に撮影されたものだ。

ブラントはまず、部分的なセットを作って照明を当て、その地域に生息する動物がフレームに入るのを待つ。

動物がカメラに収まると、カメラの位置は固定されたまま、橋や高速道路の建設現場、ガソリンスタンド、バスターミナル、そして枯れた森などのフルセットが作られる。

その後に地元から集められた大勢のキャストでシーンを完成させ、2番目のシークエンスを撮影し、最終的には、この2つの複雑なプロットを合成した大判プリントを完成させている。

人間の暴走によって動物が生存できる空間が失われた世界を鮮やかに描き出し、自然を奪われた私たちはどのような世界に住むのだろうかという問いを投げかける一冊となっている。

Thames & Hudson 2019年刊行 テキスト: 英語
サイズ: 縦330mm×横381mm ハードカバー 128ページ
ISBN: 9780500545140

ニック・ブラントのパワフルで鋭い芸術的スタイルに特徴的な創造的な仕掛けに支えられた「This Empty World」は、開発に圧倒され、もはや動物が生存するための空間がない世界を想定している。

ブラントは、制御不能な開発による短期的な経済的利益に伴う環境悪化の主な犠牲者である動物と貧しい農村部の人々の両方の脆弱性を強調することを目的としている。

この1世紀で、世界の動植物の膨大な割合が消滅してしまいた。生物多様性が自然界における絶滅の抑止力であることを考えると、この減少は、私たちの環境をますます脆弱なものにしている。

この巡回展では、ブラントが撮影した31点の大型写真を展示し、深刻化する自然界の環境破壊や生態系破壊における人間の役割に取り組む必要性を伝えている。

ニック・ブラント This Empty World」は、ガードナー・バイリンガル基金からの寛大な資金援助により実現した。

また、サンディエゴ市とサンディエゴ郡からも資金援助を受けている。

◼︎ 入場料:無料。*ドネーションを奨励。随意の金額を寄付することで入館できる。