Friday, 29 March 2024

在ロサンゼルス総領事館からのお知らせ 令和2年秋の叙勲受章者

11月3日(日本時間)、日本政府は、令和2年秋の叙勲受章者を発表しました。

当館管轄区域関係者では次の2氏に対して授与されます。



● デニス・ユキオ・オオツジ【旭日双光章】

・ 功労概要:アメリカ合衆国における日本文化の紹介及び対日理解の促進に寄与

・ 現住所:米国カリフォルニア州サンディエゴ市

・ 経歴:現 サンディエゴ日本友好庭園協会会長

デニス・オオツジ氏は、50年以上に亘り造園業及び都市設計に携わってきました。

由緒ある世界的な造園家の団体である米国ランドスケープアーキテクト協会(ASLA)の会長も歴任し、情報発信、唱道や教育等を通じて造園業を推進してきました。

また、日米の友好を象徴するサンディエゴ日本友好庭園協会の会長として、精力的に日本の文化・伝統の普及に尽力してきました。

さらに、同氏は、「マンザナー日系人強制収容所」の史跡モニュメントの設計と管理計画及び「全米日系米国人記念碑」の建設促進を通じ、日系人の強制収容の歴史の伝承へ貢献しました。


オオツジ氏は、平成11年にサンディエゴ日本友好庭園協会の理事に就任し、平成21年以降,現在に至るまで会長職を務めています。

平成27年に完成した同庭園の拡張事業では、ランドスケープアーキテクトとして革新的な設計案を提案し、日本文化・伝統の普及のための更なる価値を加えただけでなく、会長として長年築きあげた人脈と優れたマネジメント・スキルを駆使し、サンディエゴ市と協力しながら、事業の推進に多大な貢献をしました。

また、同氏は、国際的な寄付を含む610万ドルを調達するなど、主要な資本調達キャンペーンの指導的役割を果たしました。

令和2年6月に、同庭園は、アメリカ博物館同盟により、博物館として認定された米国初の日本庭園になりました。

同氏は、同庭園を通じて日本の文化と伝統をさらに広めることに現在も情熱を注いでいます。


昭和54年以降、オオツジ氏は、ASLAの会員として積極的に活動し、平成6年に同協会会長に就任しました。

平成10年に、同氏は、造園業への比類のない貢献により、ASLAから会長賞を受賞しました。

平成4年、ASLAで政策担当副代表を務めていた同氏は、ASLA委員会の委員長として、マンザナー委員会とマンザナー諮問委員会及び国立公園局と協力して、第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容の歴史を正確に解釈した、マンザナー史跡のジェネラル・マネジメント・プランの作成の指導及び支援を依頼されました。

同氏自身、コロラド州のアマチ収容所に収容された経験を持ち、同じく第二次世界大戦中に10か所存在した強制収容所の1つに収容された経験を持つ8人のメンバーを率いて、任務を遂行しました。

同氏のマンザナーへの関与は平成24年に終了しましたが、同氏は、現在も毎年現地を訪れ、進捗状況を確認しています。


全米日系人財団理事を務めていた同氏は、平成10年から平成12年まで、財団の理事会、建築家及び建設会社と協力し、ワシントンDCにある「全米日系米国人記念碑」の設計及び建設を推進しました。

この碑は、「第二次世界大戦中、不当な扱いを受けたにもかかわらず、この国を愛国心を持って支持した日系アメリカ人とその両親の経験を記念」したものです。




● グレン・タケオ・タナカ 【旭日双光章】

・ 功労概要:日本・アメリカ合衆国間の友好親善に寄与

・ 現住所:米国カリフォルニア州レイクフォレスト市

・ 経歴:元 オレンジコースト・オプティミストクラブ会長

グレン・タケオ・タナカ氏は、40年以上に亘りオレンジ郡アーバイン市等にて農業経営を通じて高品質な野菜や果物を提供してきたばかりでなく、都市近郊にある利点を生かして子供達への食育や農園を開放した収穫ツアー等、地域活動にも貢献しています。

また、東日本大震災の被災農家や被災地域で農業を志す学生に寄付活動を続けています。

タナカ氏は、福島県をはじめとした東北地方を支援するファンドレイズ・イベント「Walk the Farm」を、同人がオレンジコースト・オプティミストクラブ会長時代の平成23年に創設した「Orange Coast Optimist’s Helping Farms Feed Families」にて主催しています。

同イベントは参加者に対して、農場を歩いて回り季節の農作物などを楽しむ機会を提供するとともに、東日本大震災の被災地の現状を知らせる展示コーナーを設け、震災の理解促進を図るものです。

また、同イベントを通じて得られた収益金は福島県をはじめとした東日本大震災被災者に寄付されています。


同イベントは、平成23年の開始以来、のべ5,000人以上のボランティアの協力を得ながら運営され、15,000人以上の来場者が参加しました。

この結果、80万ドル以上が日本に寄付されました。

令和2年はコロナウイルス感染症の拡大により、イベントは中止となったものの、同人の働きかけにより20,000ドルが日本に寄付されました。

寄付金は、平成23年の東日本大震災の地震や津波で被害を受けた東北地方の農業者(これまでに20名)、また、岩手大学や福島大学で農業を学ぶ学生8名に対する奨学金として届けられています。

タナカ氏はオレンジコースト・オプティミストクラブの会長時代、特に青少年育成に積極的に関わってこられました。

平成24年,同クラブ内にYouth Advisory Committeeを設立し、青少年会員の自主性を尊重しながらも、イベント内容やロジスティクス面での組織的なサポートが可能となり、活動の継続性が担保されました。

また、同人の会長時代の平成24年、同クラブの取組の一環として、日本の中高生を当地に招聘する交流活動を開始しました。

毎年、30人~120人程度の生徒達を「Walk the Farm」に招待するなどし、当地の中高生との交流を行っています。

タナカ氏は、父親との共同経営時代を含めて40年以上にわたり田中ファームを経営し続け、農産物の生産のみならず、幅広い消費者に対して農業に触れる機会を提供しています。

昭和63年に地元の子供達向けに農業体験を開始し、平成10年には農場を一般に開放し、教育ツアーやアグリツーリズムとして開始しました。

現在では、年間35,000人の子供達を含む10万人が農業体験を行い、タナカ氏は農業の学習指導や後継者の育成に努めています。

また、タナカ氏の貢献は地域コミュニティにも注がれています。

同人は長年、日本文化を継承するため、田中ファームにおいて新年の餅つき大会を開催しているほか、南カリフォルニア日系企業協会等とも連携してイチゴやカボチャなどの収穫時期には数多くの収穫祭を企画・運営しています。

特に毎年10月に開催されるカボチャ収穫期には10万人もの来場者が訪れる一大イベントとなっています。

タナカ氏による地域コミュニティへの長年の貢献は数々の団体によって評価されており、平成29年には(公社)大日本農会から緑白綬有功章を受章されています。