2023年11月25日
サンディエゴ~ティフアナの沿岸地域における海水汚染と大気汚染が予想外に進行している。
カリフォルニア大サンディエゴ校 (UCSD) の科学者グループの調査報告によると、米墨国境地帯の
汚水流出が深刻化し、特にサウスベイ地区のインペリアルビーチでは汚染水による環境劣化の影響が
住民の健康を脅かしており、地元の海岸が閉鎖される日々が続いている。
一般論としては、降雨量の多い季節には、汚水が地上から道路などを伝って海洋に流されることから海水汚染が進む。
これまでカリフォルニア州は極度の乾燥状態が続いた年が多く、降雨流水が減少し、地上からの排水の海岸流入もなく、水質検査による海水汚染度の評価は優良ランクを維持していた。
だが、地球温暖化の影響もあって、ここ数年はサンディエゴも降雨量が上昇傾向となり、地表を流れる汚水 (runoff) が海洋に流れ込んでいる。
UCSDの調査で、海中に増加した細菌や化学物質がエアロゾル化されることが判明。
水泳をしなくても、空気を吸うだけで汚染に曝 (さら) されるリスクがあるという。
“America’s Finest City” の好評価を獲得して「楽園」のイメージが定着するサンディエゴ。
雨季 (当地は1~2月の降雨量が最も多い) が到来する前に、行政の効果的な環境対策が待たれる。
米墨両国の協力体制も不可欠で、その緊急性が高まっている。
*写真はイメージ
(2023年12月16日号掲載)