2021年12月28日
米国の大都市圏で次世代型路面電車 (Light Rail Transit=LRT) の路線建設が進んでいる。
マイカー利用より二酸化炭素 (CO2) 排出量を低減できるため気候変動対策となり、道路の渋滞緩和や、車を持たない低所得者の雇用促進にも役立つ。バイデン政権の総額1兆ドル (約114兆円) のインフラ投資法が11月に成立したことも建設促進の追い風となる。
LRTは地下鉄より建設費が安く、主力の床が低い車両は高齢者や車イス利用者らも乗降しやすいのが特色だ。
サンディエゴ都市圏では11月21日、南北に走る路線「UCサンディエゴ ブルーライン」が延伸開業した。
延伸した約18キロ (約11マイル) の沿線にカリフォルニア大サンディエゴ校 (UCSD) や大型商業施設があり、事業費は21億ドル規模。
開業日のブルーライン利用者は6万人超と、前週日曜の約2.4倍に膨らんだ。
沿線地域に通勤する女性は地元メディアに「車を使っていたが、ガソリン価格高騰の中で電車利用は好ましい」と話した。
ロサンゼルス都市圏では、中心部とロサンゼルス国際空港 (LAX) の移動に利用できる新路線を建設中。
同都市圏のLRTでは日本の近畿車輛 (株) のステンレス製電車も活躍する。
同じ近畿車輛社製の電車が走るシアトル都市圏では、中心部と近郊のベルビューやレッドモンドを結ぶ新路線を2023年に開業する予定。
2024年にはレッドモンドの繁華街へ延ばす計画だ。
首都ワシントン近郊では、メリーランド州の住宅地を東西に約26キロ (約16マイル) 結ぶ新路線「パープルライン」の建設が進む。
ワシントン首都圏地下鉄と乗り換えられる停留所を設け、開業後にはワシントンへ通勤する沿線住民の利便性が高まりそうだ。
(2022年1月16日号掲載)