2023年2月1日
バイデン政権は1月30日、米国内で社会問題化している違法な医療用麻薬フェンタニルなどを大量に密輸したとして、メキシコに拠点を置く密輸組織のトップら3人を制裁対象に指定。
中国企業から調達した化学物質を使い、水面下で大量生産していた疑惑が深まっている。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) の研究チームは、ティフアナを含むメキシコ北部4都市にある40店の薬局でアデロール (精神刺激薬)、メタンフェタミン (中枢神経刺激薬)、オキシコドン (オピオイド系鎮痛剤) として売られている医薬錠剤から、ヘロインやフェンタニルの陽性反応が出たと報告。
チームが調査用に購入した45錠のうち半分近くが偽薬と判明した。
フェンタニルはモルヒネの50倍の強度を持つ鎮痛薬で、がん患者の苦痛に対処するために開発された。
依存性が高く、過剰摂取による死亡事故が頻発。
アントニー・ブリンケン国務長官は「制裁は国際的な犯罪組織の撲滅に向けた政府全体の取り組みの一環だ」との声明を出した。
米財務省によると、制裁対象者らは米国や中米のほか、欧州やアジア、アフリカにもネットワークを張り巡らし、フェンタニルの生産・密輸を大々的に行っていた。
最終的な密輸先は米国だったと指摘している。
制裁対象は米国内の資産が凍結され、米国人との取引もできなくなる。
制裁対象者らが連携していた中国企業をめぐっては、バイデン政権が2021年12月に制裁対象に指定している。
(2023年2月16日号掲載)