2021年3月25日
与党民主党のアジア系上院議員が3月23日、バイデン大統領に対し、アジア系高官の少なさを批判し増やすよう要求した。
新たにアジア系を指名するまで「多様性のない」あらゆる人事案に反対票を投じるとも表明。
政権側がホワイトハウス高官にアジア系を充てるとして歩み寄り、議員も矛 (ほこ) を収めた。
政権発足から間もない時期に与党議員との軋轢 (あつれき) が表面化する異例の事態となった。
上院議員はタイ系のタミー・ダックワース氏 (*写真右) で、日系のメイジー・ヒロノ上院議員も賛同した。
米社会でアジア系に対する根強い差別が指摘される中、中国から感染が拡大した新型コロナウイルス流行を受け、アジア系への嫌がらせや暴力が増加。
アジア系6人が犠牲になる銃撃事件もあり、両氏は地位向上を図ろうとした。
人事承認権限を持つ上院は民主党と共和党が50議席ずつの同数で、賛否が割れる人事案の場合は両氏の票が左右する可能性があった。
それだけに、政権側は早期の収拾を狙ったとみられる。
バイデン政権でアジア系はハリス副大統領、閣僚級にタイ通商代表部 (USTR) 代表がいるが、ダックワース氏は閣僚に1人もいないと指摘し「バイデン氏はここ20年でアジア系の閣僚を持たない初の大統領だ」と強調。
一層のアジア系起用を進めない限り連邦判事や政府高官を含めて「人種、性的指向で多様性のある指名以外、賛成しない」と訴えていた。
大統領選で多様性ある政権づくりを公約に掲げたバイデン氏には、黒人、中南米系、アジア系などから高官ポスト割り当ての圧力があった。
バイデン氏は23日、記者団に「史上最も多様性ある閣僚布陣だ」と誇ったが、起用が比較的少ないアジア系には不満がくすぶっていた。
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(2021年4月16日号掲載)