2020年10月27日
司法省などが起こしたグーグルの独占禁止法 (反トラスト法) 違反訴訟で、グーグルとアップルが結ぶスマートフォンなどでのインターネット検索をめぐる巨額取引が焦点に浮上した。
ライバルとみられてきた巨大IT2社が秘密裏に手を結び、持ちつ持たれつの「特別な関係」にあったことが明らかになり、米国内に衝撃を与えている。
ニューヨーク・タイムズ紙 (電子版) は10月25日、「ネットを支配する両社の秘密提携」と伝えた。
訴状によると、アップルは、グーグルの検索エンジンを「iPhone (アイフォーン)」のブラウザーの初期設定などにする代わりに、年80億~120億ドルを受け取っている。
グーグルが検索を通じた広告収入の一部をアップルに支払い、昨年のグーグル検索の半数はアップル端末からという。
司法省は競合の検索サービスを排除する取引と見なすが、グーグルは自社サービスの宣伝にすぎないと反論している。
訴訟の結果、この取引を結べなくなれば、アップルは手軽な収益源を失う。
グーグルは検索利用が減り、事業に大きな影響が出る可能性がある。
司法省によると、グーグル、アップル両社の最高経営責任者 (CEO) は2018年に会い、両社で検索による収益をどのように増やすかについて話し合った。
会談後、アップル幹部は、グーグル側に「私たちの構想は一つの会社のように協力することだ」と伝えたという。
一方、グーグルは既に欧州当局の是正の求めに応じ、欧州で自社の基本ソフト (OS) 「アンドロイド」を搭載したスマホについて、入札で落札した競合社の検索エンジンを選べるようにし、自社の検索サービスを優先する仕組みを改めた。
調査会社スタットカウンターによると、今年9月時点でグーグルは世界の検索エンジン市場で92%のシェアを占めた。
(2020年11月16日号掲載)