2024年6月25日
世界保健機関 (WHO) は6月25日、飲酒によるアルコール依存症など健康被害を受けた人々が世界で推計4億人に上ったとする報告書を発表した。
特に、15~19歳で飲酒経験がある人の割合が「受け入れ難いほど高い」と懸念。
飲酒を容認する社会通念により、引き起こされる健康被害が軽視されていると指摘した。
WHOは新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今回は2020~22年のデータは不備だったとしている。
報告書によると、2019年の1人当たりの年間アルコール消費量 (純アルコール換算) は5.5リットルで2010年の5.7リットルから
微減した。
2020年については、新型コロナの影響を受け、2019年に比べ10.1%減の4.9リットルと推測した。
消費量は旧ソ連諸国や欧州地域、北米・南米地域で多く、米大陸では健康被害に苦しむ人口比が他の地域よりも高い。
最も消費量が多い国はルーマニアで17.0リットル。
米国9.6リットル、日本6.7リットルだった。
15~19歳で飲酒経験がある人の割合は2000年からアフリカ地域で低下したが、日本を含む西太平洋地域や東南アジア地域で上昇した。
アルコール消費が原因の病気やけがによる死者数は、2019年に260万人に上ったと推計。
死亡率は20~30代で最も高く、若い世代が影響を受けやすいと分析した。
高所得国ほどアルコール消費量は多いが、低所得国ほどアルコール消費に関連する死亡率などは高い。
財源や技術、知見の不足から、こうした問題に対処するための政策がない国も多い。
WHOは、有害なアルコールの使用を2030年までに2010年比20%減を目標としており、達成には影響力の大きい政策措置が不可欠だと訴えた。
(2024年7月16日号掲載)