Friday, 19 April 2024

世界巨大100社課税強化 米新提案、IT限定せず

2021年4月10日

巨大IT企業などの過度な節税を防ぐ国際的な法人税改革のルール作りをめぐり、バイデン政権が関係各国に示した新提案が判明した。

課税強化の対象業種をデジタル関連に限定せず、売上高の大きい「多国籍企業100社程度にする」のが特徴。

グーグルやフェイスブックなど巨大ITを抱える米国が具体的な提案をしたことで、各国が目指す7月の国際合意へ協議が加速しそうだ。
 

これまで国際的に「デジタル課税」を念頭に検討されてきたが、トランプ前政権下の米国は自国に不利だと反発。

今回は米国が受け入れ可能なITに限定しない代替案を示した。

法人税率が低い国を活用した税逃れを防ぐため、共通の最低税率導入も改めて求めた。
 

麻生太郎財務相は4月9日の閣議後記者会見で「米国が折り合う姿勢に変えてきて、ルールが出来上がりつつある」と述べ、合意に期待感を示した。
 

ただ、業種が広がれば、日本に影響が及ぶ可能性もある。

米国が想定する課税強化の対象は定かではないが、関係者は「製造業はもともと販売先で拠点を構え、既に納税している」としており、日本経済を支える自動車産業への大きな影響は避けられるとの見方が強い。
 

デジタル課税と最低税率の導入を柱とする国際的な法人税改革は、経済協力開発機構 (OECD) を中心に約140か国が今年半ばの合意を目指している。
 

米国は今回新たにOECDの関係各国に提案書を送った。

多国籍企業が商品やサービスを販売する拠点を置かない国も、売上高に応じて課税できるようにするOECD案を支持。

一方で、OECD案ではオンライン広告などを展開する企業を対象としているが、業種を特定せずに巨大な100社程度に絞り込むことで「対象範囲が差別的にならず、管理可能な仕組みになる」と主張した。
 

米企業の海外収益への最低税率を21%に引き上げる米政権の方針を紹介し、OECD関係国内で12.5%程度を念頭に検討されてきた共通税率の引き上げを示唆した。


(2021年5月1日号掲載)